遠藤保仁、偉業の先に見据えるもの「もっと楽しく、もっと上手くサッカーがしたい」

遠藤保仁(Hiroki Watanabe / Getty Images)

ガンバ大阪の大ベテラン、39歳のMF遠藤保仁が公式戦通算1000試合出場の偉業を達成した。心身のコンディションを常にベストに整え、所属クラブと日本代表でコンスタントにピッチに立ち続けてきたからこそ日本人選手で初めて、海外の現役選手でもほんのひと握りのレジェンドしか達成していない大台に到達した。

ピッチの内外で飄々とした自然体を貫く、稀代のプレーメイカーが歩んできたサッカー人生をあらためて振り返りながら、視線の先に刻まれている遠藤の飽くなき目標を探った。


所属チームと母国の代表チームの両方でフル回転したとして、プロサッカー選手の場合、年間で出場する試合は多くて「60」だろうか。心身のコンディションを常に整えながら勤続したとして、17年という歳月を要してようやく「1000」という数字に到達できる。

指揮官が代わるたびに新たな戦術や要求に応えなければいけないし、時間の経過とともに忍び寄る肉体的な衰えとも真正面から向き合い、乗り越えていかなければいけない。高く、険しいハードルが数多くそびえ立っているからこそ、プロになって22年目を迎えたガンバ大阪の大ベテラン、39歳の遠藤保仁が打ち立てた金字塔はまばゆい輝きを放つ。

敵地ノエビアスタジアム神戸で2日に行われた、ヴィッセル神戸との明治安田生命J1リーグ第21節。後半19分からFWパトリックに代わって遠藤がピッチに立った瞬間、日本人選手にとって前人未踏であり、未来永劫にわたって破られないであろう大記録が生まれた。

公式戦通算1000試合出場がいかに達成困難な記録なのか。海外の現役選手を見わたしても、元イタリア代表GKジャンルイジ・ブッフォン(ユベントス)、元スペイン代表GKイケル・カシージャス(FCポルト)らのほんのひと握りのレジェンド、それも選手生命が比較的長いとされるゴールキーパーしか到達していないことからもよくわかるだろう。

ガンバによれば、Jリーガーとしてデビューした1998シーズン以来、遠藤が出場してきた1000試合の内訳は下記のようになっている(数字はすべて2019年8月2日のもの)。

・J1リーグ:621試合(歴代2位)

・J2リーグ:33試合

・Jリーグチャンピオンシップ:3試合

・YBCルヴァンカップ:72試合

・天皇杯全日本サッカー選手権:48試合

・ゼロックススーパーカップ:6試合

・FIFAクラブワールドカップ:3試合

・AFCチャンピオンズリーグ(ACL):58試合(日本人歴代2位)

・スルガ銀行チャンピオンシップ:1試合

・A3チャンピオンズカップ:3試合

・日本代表(国際Aマッチ):152試合(歴代1位)
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文=藤江直人

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