ビジネス

2019.07.22

楽天・三木谷浩史が「死の山」で見せた「イノベーションに大切なこと」

楽天 三木谷浩史


この根性を目の当たりにしたのがその2年後である。昨年9月、本誌記者は群馬県と新潟県の県境にそびえる谷川岳山頂に向かった。この日、アメリカ、ドイツ、インドなど各国の楽天グループ企業のCEOなど執行役員約150人が集まり、「リーダーシップサミット」が行われた。そして10年続く恒例の目玉イベントが、標高1977メートル「死の山」と呼ばれる谷川岳登山である。危険箇所が多く遭難者も出る山で、三木谷はステッキ2本を両手にもって、足場の悪い急な崖のような道を進んでいく。5時間以上かけて山頂に到着し、休憩所でビールで乾杯する三木谷に、本誌記者は話しかけた(ちなみに、本誌記者は登山中に離脱し、ロープウェイで先回り)。三木谷のふくらはぎは真っ赤に腫れ上がり、記者が「痛そうですね」と言うと、彼は「全然たいしたことないよ」と笑うのだ。

「ワークハード、ライフハード。一生懸命働き、楽しむ。バランスなんて取れませんよ。生活の中にもビジネスのインスピレーションはあるんです」
 
そして、三木谷らしいこんな言葉が飛び出した。それはまさに三木谷の人生を言い表す言葉だろう。彼はこう笑ったのだ。「根性ですよ!」と。


三木谷浩史◎1965年兵庫県生まれ。88年一橋大学卒業、日本興業銀行入社、93年米ハーバード大学ビジネススクール修了(MBA取得)、95年クリムゾングループ創業、97年エム・ディー・エム(現楽天)創業。

文=フォーブス ジャパン編集部 写真提供=楽天

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