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2019.07.22 12:10

楽天・三木谷浩史が「死の山」で見せた「イノベーションに大切なこと」

楽天 三木谷浩史

楽天 三木谷浩史

昨年の日本長者番付7位から順位を5位に上げた楽天の会長兼社長の三木谷浩史。 昨年12月期に楽天は売上高を初の1兆円の大台に乗せて、今年は携帯事業に参入する。
 

〈警告 三木谷浩史の目的は、日本の通信業界を破壊することである〉

そんな過激な言葉とともにForbes Asia 4月号の表紙を飾ったのが、楽天の三木谷浩史だ。彼は「JAPAN’S RICHEST 2019」特集で5位にランクイン。「我々は不可能を可能にする」という三木谷のセリフや、「悪童からビリオネアへ」という生い立ちを紹介。大型の記事が掲載されている。

楽天モバイルが通信業界を破壊するという表現は、決して大げさではないだろう。三木谷は、今年2月にスペインで開催された「MWC Barcelona 2019」での講演で、「携帯電話業界におけるアポロ計画」と言って話題になった。年内に彼らが参入する携帯電話事業は、楽天による「完全仮想化クラウドネイティブネットワーク」で、巨額の設備投資を必要としない通信網を構築できることになる。

汎用機器とソフトウェアで構成するため、従来の専用機器を用いる場合と比べ、自由度の高いネットワークが組める。低コストの提供に加え、5Gへの切り替えも容易で、柔軟に新たなサービスを展開することが可能だ。三木谷は、世界でも類を見ないこのネットワークの構築ノウハウの外販についても検討しているとみられ、消費者、通信事業者、ITベンダーともにイノベーションとなる可能性を秘めている。

本誌Forbes JAPANは、2014年の創刊以来、三木谷へのインタビューを行っており、そこでも「自分たちのイノベーティビティをもっと広げていこう」という発言を繰り返してきた。気が合い、頻繁に会うイーロン・マスクからはよくこう言われるという。「アントレプレナーは国家に立ち向かえ」。三木谷は本誌16年11月号でこう解説している。

「従来の枠組みで考えるのではなく、“こうなる”と仮説を組み立て、そこに向かって進んでいく。起業家のパワーは先を読む力と挑戦する力にある。そういう意味では楽天は、(中略)インターネットサービスに限らず、自分たちのイノベーティビティをもっと広げていこうと思っています」

そのための方策として、彼は3つ挙げている。それは「ストロング」「スマート」「スピード」。各ビジネスをこの3つに分けて、ポートフォリオ・マネジメントを行っているという。だが三木谷らしいのは、「イノベーションに大切なことは何か」と問うたときの答えだろう。彼はこう言っている。

「それは、日和らない根性ですね」
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文=フォーブス ジャパン編集部 写真提供=楽天

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