カーメーカーとしては、アメリカ市場でのセダンの利益は今も無視できない。簡単に計算してみると、カムリは平均価格2万7000ドル(約290万円)で年間34万台だから、売り上げは10億ドル(約1000億円)だ。カローラもシビックも同様であり、日本のメーカーがそのラインアップからセダンを削除することは当分考えられない。売れ行きが少し下火になっているとは言っても、まだ利益が出るから、セダンを作り続けるだろう。
ユーザー側から見たセダンの魅力といえば、まず、大型SUVやピクアップ・トラックより燃費がいいところが大きいだろう。高齢化が進む日本において、乗り降りしやすい点もSUVよりも魅力となる。また、人気のミニバンよりも走りがいいし、駐車しやすいという特徴もあるので、セダンから他へ浮気する顧客はそれほど多くないようだ。日本での16%というセダンのシェアは急には下がらないだろう。
と言うことで、これからもアメリカでも日本でもSUVの人気は相変わらず伸びるだろうけど、サイズ的にも、乗り降りのしやすさの面でも、そして何より燃費の面でも、セダンは忠実なオーナー達をしっかりとキープするだろう。
国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
「ライオンのひと吠え」 過去記事はこちら>>