特に2018年は“ビューティーテック元年”と言われ、国内の化粧品メーカーの新たな動きが目立った。資生堂は「2020年度までの中期経営計画でデジタル関連に合計520億円を投資する」と宣言。化粧品ベンチャー企業「MATCHCo(マッチコー)」、AI関連のベンチャー企業「GIARAN(ギアラン)」の買収に続き、今年1月には「Olivo Laboratories(オリボ・ラボラトリーズ)が保有する「セカンド・スキン」という人工皮膚形成技術の特許と関連事業を買収した。
こうしたビューティーテック市場の盛り上がりを語る上で欠かせないのが、美容大国・韓国だ。現在、韓国コスメはK-POPならぬ“K-Beauty”と呼ばれ、世界中で人気を博している。美容意識が強く、市場規模も大きい韓国の化粧品市場は日本よりも数年早くテクノロジーを活用し、進化を遂げている。
サムスンから生まれたビューティーテック企業
そんな“ビューティーテック先進国”の韓国から、AIを活用した肌分析デバイスが登場している。その名も「LUMINI」。開発するのはサムスン電子の社内ベンチャー育成プログラム「Creative Lab」からスピンオフした企業「lululab」だ。
このデバイスの特徴は、自分の顔にデバイスをかざすだけで、肌の状態を診断してくれるところにある。その場で現在の肌年齢、問題のある箇所、放置し続けた状態の肌がどうなるかを知ることができる。そして、そのデータをもとに自分の肌を改善するのに役立つ化粧品もレコメンドしてもらえる。化粧品を購入する際、「自分に合ったものは何か……」と困ってしまいがちだが、これ1台あれば、そんな悩みもなくなる。
5月29日〜31日にかけて、台北世界貿易センター ホール1で開催されたイノベーションとスタートアップに特化した専門のエリア「COMPUTEX2019 InnoVEX」に、lululabが出展していたので実際に体験してみた。
筆者撮影
LUMINIのサイズと重さは片手で持てるほど。氏名、生年月日、メールアドレス、いくつかの質問に答えるだけで使用可能だ。
約15秒ほど目を瞑っているだけで、診断が完了。AIが肌の状態を分析し、iPad上で肌に関する、さまざまな情報がわかるほか、オススメ商品とその商品のレビューも閲覧できる。例えば筆者の場合、肌年齢は年相応だったが、Tゾーンの毛穴、シミの問題があると診断され、毛穴の開きなどに効果のある化粧品などがオススメされた。