化粧品メーカーは肌診断アプリやアドバイザーボット、エステではレーザー脱毛やダイエットのための脂肪分解の機械、ヘアサロンでは予約システムやネイルのペイントマシンなど、各々の技術革新は少しずつ進んではいるが、まだまだイメージ的には美容とITの繋がりは薄い。
1月9日から12日まで、ラスベガスでテクノロジーの祭典、CES2018が開催された。日本にいるとつい「技術は日本がいい」なんて思ってしまうが、このイベントで日本勢は、アメリカはもとより、中国勢に圧倒されていて正直心配になった。
美容関連でいうと、日本のブースでは鏡やお風呂が音声に反応する、なんてものがあったが、これもなんとなくほのぼのしている。そもそも音声認識はアップル、グーグル、アマゾンのシステムが市場リードしているので、これらのリーディングカンパニーと組まない限り進展しにくくなっている状況だ。
資生堂は昨年11月、アマゾン・エコーの日本展開にあわせ、話しかけるだけでスキンケアやメイクの注意点やアドバイスを提供するというサービスを開始した。音声認識の美容市場を取るつもりだろう。
ところでそもそも、音声認識を活用している女性は増えているのか? いや、美容意識の高い人であれば、音声アシスタントに聞くより、身近な友人や担当美容師に聞くのが早く、正確なのではないか。はたまた、音声認識を活用している女性が美容に疎いのだろうか……。そのあたりの実態が調査され、製品やサービスが市場にミスマッチにならないよう、戦略が最適化されればと思う。
美容分野に関しては、ネイル以外は機械に置き換えにくいという調査結果が各国ででている。その大元はケンブリッジ大学のフレイ博士とオズボーン博士による2013年9月の論文だが、たしかに女性と美容こそ、テクノロジーから相当遠いジャンルにあると見てもおかしくない。
紀元前のエジプトや中国ですでにクリームを顔に塗ることができ、筆によるメイクができていた。それから2000年以上が経って、何が進化したのだろうか。