テクノロジー

2018.01.22 10:00

遅れている美容業界のIT化、ヘルスケアとの連動がカギに?


前述の資生堂は、在宅勤務の女性がテレビ会議に参加する際“すっぴん”でも恥ずかしくないように、相手画面に映る顔にはデジタルでメイクがのるシステムを運用し始めている。

すっぴんになりがちな家にいても、これがあれば会議出演も困らないそうだが、その映像の背景には、子育てで忙しいママ社員の家が丸見えに映ることになる。デジタルメイク自体はITと美容のうまい事例だが、まだクリアすべき課題はありそうだ。

そうなると美容の前に、超高齢者をかかえる日本としては、やはりヘルスケアxITの実用が先だろうか。

美容のITは、ヘルスケアと連動して進むのが近道に思える。介護の人手が不足にともない、お年寄りや障がいの方のアシストをはじめ、グーグルマップと連動する車椅子や杖の研究や導入も始まっている。スイスで実用化されたお年寄り地区の“お届けロボット”は六本木ヒルズでもテスト運転されており、生活機能の向上にITが活用されるイメージが見えてきた。

その中でも、とくに最近気になっているのは、大阪の企業、トリプル・ダブリュー・ジャパンの中西敦士氏が「認知症をどう改善するか?」という出発点から開発した排泄予知デバイス「DFree」だ。

認知症は、その過程で排尿や排便の間隔がわからなくなる。その不安から外出を躊躇するようになると、症状の進行が加速すると考えられている。ではどうしたら外出を厭わなくなるか? 徹底して考えた結果、膀胱がいっぱいになることをセンサーで見極めるITツールがあれば、排尿の時間間隔がわかり外出もしやすくなると考えた。楽しい生活、楽しい人生が見える、非常にポジティブで未来が見えるデバイスである。

美容では、メイクで人を元気にする“ケアメイク”なんてジャンルも伸びてきている。美容と健康は実はものすごく近い存在でもあるのだ。ヘルスケアと連動することで、美容のITが伸びていくのではないかと思う。

文=朝吹大

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