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ビジネスマンの新常識 「教養」としての健康情報

Alessandro De Carli / Getty Images

突然襲う激痛、「ぎっくり腰」。痛みによって動けなくなり、大切な会議やプレゼンに欠席したり、リスケジュールを余儀なくされたりした経験をお持ちの方も多いと思います。

では、自分がぎっくり腰になってしまったとき、早く治すために「やってはいけない」ことは次のうち、どれでしょうか。

1 普段のように動く
2 痛み止めの薬を飲む
3 安静にする

正解は、3「安静」です。

え? と思われた方も多いかもしれません。腰が痛いときには「大事をとって安静にする」ほうが良いイメージがありますよね。でも、いま腰痛の常識は、大きく変わっています。

フィンランド労働衛生研究所が行った研究(下図)では、ぎっくり腰になった人に「ベッド上で安静」にするよう指示した場合と「できるだけ通常の生活をする」ように指示した場合を比べると、安静にした場合は仕事に復帰するまでの期間が倍近くかかってしまうことがわかりました(N Engl J Med. 1995 Feb 9;332(6):351-5.)。



現在の日本の腰痛治療の指針となるガイドラインにも、「安静は必ずしも有効な治療法とはいえない」と明記されています(腰痛診療ガイドライン 2012 監修 日本整形外科学会/日本腰痛学会)。

なぜ、安静にしていると治りが悪くなってしまうのか?

日常生活で歩いたり立ったりするだけでも、私たちの体は重力に対抗して姿勢を保つために筋肉を働かせています。「無重力で生活した宇宙飛行士は筋肉が衰えてしまう」という話を聞いたことがある方もいると思いますが、それは重力の負荷がなくなるためです。

ベッドでじっとしていると同じことが起きて、腰を支える筋肉が衰えて痛みが起きやすくなります。また血液の流れが悪くなって「痛み物質」がとどまりやすくもなります。

さらに近年の研究では、半年以上にわたって腰痛に悩む人の脳を調べたところ、痛みの処理に関わる部分の働きが衰え、通常の人よりも痛みを「感じやすくなる」ケースがあることもわかりました。(J Neurosci. 2011 May 18;31(20):7540-50.)

文=市川衛

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