ヒュッゲの次は「ラゴム」 スウェーデン流の幸せな生き方

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数年前に「ヒュッゲ」がトレンドになった際には、キャンドルやクッションが瞬く間に売れた。ヒュッゲブームが落ち着いた今、家が雑貨であふれている北欧グッズ愛好家は、どうすればいいのだろう? ある専門家は、散らかったものを片付けバランスの取れた生活に注力することから始めることを勧めている。

ストックホルム在住の作家・写真家ローラ・アキマデ・オーケストロムによれば、北欧のライフスタイルは「ラゴム」と呼ばれるスウェーデンの考え方によって真に形作られている。

3つの非常に異なる文化に触れた経験を持ち、現在はスウェーデンで外国人として生活している彼女は著書『Lagom: The Swedish Secret of Living Well(ラゴム 幸せに暮らすためのスウェーデンの秘密)』で、独自の視点からラゴムを紹介している。

私はオーケストロムを取材し、これ以上キャンドルやクッションを買うことなくラゴムを実践する方法を聞いた。

筆者:ラゴムの定義は何でしょう?

オーケストロム:「少な過ぎず多過ぎず、ちょうどいい」というシンプルな説明が多いけれど、実際はもっと複雑で繊細な意味合いがあります。ラゴムは、仕事や家族、家の装飾、食べ物、環境保護、家計などの面で、スウェーデンの社会と言語に深く浸透しています。

私にとってラゴムは、どんな状況でもバランスを作り出すための、完璧ではないが最善の解決策。これはスウェーデン人の考え方の根源と言えます。

ラゴムを、常にバランスを取る必要があるはかりとして考えてみてください。少な過ぎても多過ぎてもはかりに負担がかかります。ラゴムの考え方では、はかりを常に均衡に保つため、可能な範囲内でストレスを取り除こうとします。

最も強力なラゴムの形は「最適」であること。各自が生活の中で最も満足し、幸せに感じる理想的な状態です。

筆者:ラゴムの実践例をいくつか教えてください。

オーケストロム:ラゴムの意味合いは、その時々の状況によって「最適」であったり、「適切」や「対処可能」であったりと変化します。これを理解すれば、日々のさまざまな状況へのラゴムの適用法を簡単に理解できます。

働き過ぎはラゴムに反するもの。そのため、ラゴムを仕事で手っ取り早く実践する方法は、定期的に休憩を取ることです。スウェーデンでは、コーヒーや菓子を食べて同僚と休憩を取ることを「フィーカ」と呼んでいる。フィーカを取ることで、働き過ぎないよう1日を調整することができる。

家でのラゴムはストレスを減らすこと。所有物の中で、機能的でないものや強い感情的価値を持たないものは、単に家のスペースを占領しているだけ。食べ物も同じです。ラゴムでは、自分が心地よく体を維持管理できるような健康的な食習慣が推奨されます。

職場でラゴムの考え方を実践することとは、フラットな組織構造の中で、計画立案や会議、合意形成に取り組み、最良の解決策を見つけることを指します。全員がプロセスに参加することで、仕事での衝突や対立は最低限に抑えられます。
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編集=遠藤宗生

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