高品質な日本の食材を持ち込み、着実にパリの料理人たちからの信頼を築いている田中さん。しかし、パソナ農援隊は「日本食材のインポーター」ではないという。事実、食材の輸出入は自分たちで行わず、全て外部のインポーターに任せているそうだ。
そこには、食べることが大好きだという田中さんならではの、生産者や食材に対するリスペクトがある。
「私たちの仕事はあくまで、パリにおける『日本食材のプロモーター』だと考えています。インポーターになってしまうと、どうしても自分たちが扱う商品ばかりに肩入れしてしまいます。でも、必ずしもその商品をパリのお客さんたちが欲しているとは限らない。プロモーターに徹することで、ニュートラルな目線でより良い商品を選び、お客さんにベストな提案をしたいと考えています。また、日本食材を扱う様々なインポーターと協力することで、より多くの素晴らしい日本食材やお酒をパリでご紹介していきたいと考えています」
実は、今年の2月から、田中さんは活動の拠点をパリから日本へ戻した。日本各地に眠る、知られざる「良質な食材」を発掘し、海外に紹介するためだ。最近ではフランスのシェフやインポーターから、「まだパリに流通していない日本の食材を持ち込んで欲しい」というリクエストも増えているそうだ。
田中さん率いるパソナ農援隊の活躍によって、「パリの美食家の舌を満足させるには、日本の食材なしでは不可能だ」といわれる日も、近いうちにやってくるかもしれない。
連載:世界漫遊の放送作家が教える「旅番組の舞台裏」
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