キャリア・教育

2019.04.16 18:00

越境イノベーターたちと考えた「本気が生まれる組織の育て方」

Jリーグ理事 米田惠美さん


▼ケーススタディ2
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創業70年の2000人規模の大企業で新規事業を任されることになりました。自分の関わったことのない全く新しい分野で他の社員も知見がありません。ゼロからの組織づくりを伝統ある会社でしていくにはどのような工夫が必要でしょうか。

こちらは、菱木さんと加藤さんのチームが回答した。

「新規事業のチーム自体を分社化して、チームメンバーが自社株を持つ! 株を持てば自分ゴトに。チームへの加入も挙手制でやる」(菱木)
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「スナックでママに、自分のルーツと新規事業の関係やつながりを語る。自分がなぜその仕事を選んだかというルーツと、新しい事業分野とのつながりが一体なんなのかをしっかり考えることが重要だから。場所は、話を聞いて受け止めてくれるママがいる『スナック』がベストなのではないかと(笑)」(加藤)

▼ケーススタディ3

チームリーダーとして部署異動になりました。10人から成るチームメンバーと話してみると、熱量の差にびっくりしてしまいます。自分の希望通りの異動にならなかった社員や自分の得意分野でやる気満々の社員や定年間近で新しいことを特にやりたくない社員…。それぞれの思惑が仕事にも影響が出ています。そのメンバーで次の新しい企画を考えるには、どのように彼らを巻き込んだらいいでしょうか。

柴田さんのチームの答えはこうだ。

「とにかく『聴く』! ディスカッションしかないでしょう。自分史を共有しあうことで信頼関係に繋げる。とにかく、聴く聴く聴く! みなさん一緒に飲みにいきましょう(笑)」(柴田)


会場とのやりとりも熱気に満ちたものに

チームでの信頼関係を構築するには、米田さんも実践しているように、まずは「聴く」姿勢が重要なのは間違いなさそうだ。

「聴く人最強説を信じている」という米田さんは、こう続ける。

「私がやっていた監査人って、英語で言うと『auditor』=聴く人という意味なんです。もちろん数字も見ますが、相手の話をとにかく聴いて、違和感を覚えた時に掘り下げることが仕事。また、Jリーグに来てからも、村井満チェアマンが、超一流の選手とそうでない選手の差を調べたところ、身体能力ではなく『聴く力』だったとよく言っています。2番目は、自己主張する力。一見相反するような2つですが、自分の軸を持っていることと、それがありつつも人の話をきちんと聴いて、自分の行動を修正できるかどうかが肝です」(米田)

ケーススタディのようなピンチに直面しているリーダーも少なくないだろう。望まない異動や、うまくいかないプロジェクトなど、人生には壁がつきものだ。短絡的な思考に陥りがちなそんな時には、「必ず意味がある」と信じること。逆境に突入した時こそ、「キタキタ、チャンス!」という感覚を持つようにしたい──。

そんな米田さんの言葉に、笑顔とともに熱を帯びた会場からは大きな拍手がわいた。

Forbes JAPANでは、これからも誌面と連動したリアルの場でのコミュニティイベントを開催していく予定だ。

文=松崎美和子 写真=林亜季、久世和彦

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