キッカケはシリアスドキュメンタリー『SERIAL』
アメリカでポッドキャストが再ブレイクするキッカケになった番組があります。シリアスドキュメンタリーの『SERIAL』です。そもそもSERIALは、WPEZというシカゴのラジオ放送局の人気番組「This American Life」のスピンオフ作品だったもの。ポッドキャストのホストが、実際にあった犯罪を調査するドキュメンタリーです。
1999年に起きた女子高生の殺害事件を題材にしています。メリーランド州ボルチモアで女子高生が失踪し、その1か月後に遺体が発見される。その後、元ボーイフレンドが逮捕され終身刑が下されるも、元ボーイフレンドは容疑を否認。SERIALはこの事件の真相を探っていくという内容です。
元々新聞記者だったSarah Koenigが、ICレコーダーを持って事件の当事者や関係者にインタビューをしながら真相に迫っていく様子に、アメリカ中が注目。SERIALは2015年に放送界のピュリッツァー賞といわれるPeabody賞を受賞し、その時点でダウンロード数は8000万回以上と言われています。この番組の影響力は強く、後に元ボーイフレンドの再審も決まりました。この番組をキッカケにポッドキャストでの表現方法が見直されて、現在の再ブレイクに繋がっていきます。
ポッドキャストは新しい「アイズフリー・メディア」へ成長した
先ほど、「SERIAL」が再ブレイクのキッカケになったと言いましたが、誰でもスマートフォンを持っていていつでもインターネットに接続できるようになったことが大きなキッカケになっていると思います。昔はそれこそiTunesを通じてiPodに同期させて聴くものでした。
「アメリカでポッドキャストが人気だ」というと、「車社会だからみんな車で聴いているんだろう」という想像をされる方が多いですが、実は車より家で聴いている人が多い。エジソンリサーチの調査によると、車で聴く人は26%、家で聴く人が48%という結果も出ているくらいです。
今のポッドキャストブームは、地上波ラジオなどの「放送」の延長線上にないコンテンツが多いです。
スマートフォン全盛期で、目で情報を得ることが飽和している今、見えないことを逆手に「耳で観る」コンテンツは多くの人の心に響いていると言えます。私たち日本人がイメージしているポッドキャストとは全く異なるものに成長しています。