「ボヘミアン・ラプソディ」俳優の次回ドラマはポッドキャスト アメリカでなぜ広がる?

Frazer Harrison/Getty Images


私は、今のポッドキャストには5つの特徴があると思っています。
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・放送が第一ではなく既存概念に囚われない「ネットファースト」
・いつでも好きな時に、好きなものを聴ける「オンデマンド」
・どんなデバイスでも聴ける「イージーアクセス」
・最新の情報を生の声ですぐにコンテンツ化できる「スピード」
・音で脳内の想像力を最大化させる「イマジネーション&イマーシビリティ」

本来の放送フォーマットでは番組の長さや構成などある程度の決まり事がありますが、オンデマンド音声コンテンツはその制約はありません。「ネットファースト」故に、表現手法に際限がないから自由な発想のコンテンツが多く産み出されています。

ライフスタイルの多様化に密接に関係しているのが「オンデマンド」です。自分の時間のバリューアップのため"好きな時に好きなモノを選択できる"自由がとても重要視されており、アップルだけでも55万件以上のチャンネルがあると言われています。
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またポッドキャストの仕組み自体は昔から存在するものです。アメリカでは多くのポッドキャストプレイヤーアプリが存在しています。2018年6月にはグーグルがプレイヤーアプリに再参入しましたし、「Castbox」のようにレコメンド機能が充実したアプリも増えました。最近とくに積極的なのはスポティファイで、音楽だけではない楽しみを提供しています。

またアプリを入れなくてもブラウザー上で簡単に聞けるのもポッドキャストの特徴です。このように、1つのプラットフォームに依存せず、ダウンロードもストリーミングもOK。デバイスも選べる「イージーアクセス」もウケている一つの理由でしょう。

ポッドキャストは最新の情報を生の声ですぐにコンテンツ化できる「スピード」も特徴です。アメリカ西海岸のテック系ポッドキャストは、ネットで話題になったサービスのエンジニアや経営者の話をスマートフォンで録音してすぐにコンテンツとして流しています。

そして「イマジネーション&イマーシビリティ」は、とくにオーディオドラマに言える特徴です。分かりやすいのは、MARVELです。



MARVELといえば、映画やアニメ、コミックを想像されると思いますが、『Wolverine: The Long Night』などはポッドキャストからはじまっているドラマコンテンツ。サウンドは3D化されていて、ヘッドフォンやイヤフォンで聴くと立体的に聞こえる仕様です。



アメリカのアマゾン・プライムで配信されているジュリア・ロバーツのテレビドラマ初挑戦作『ホームカミング』も、ポッドキャストが原作です。このようにポッドキャストからはじまっているドラマが増えています。

日本のラジオドラマとの違いは、シーンを軸にしているのではなく、「人がこの音を聞くと何をイメージするか?」を逆算して作られているところ。モノローグなどの言葉の説明も少ない。人の没入感を最重視して脳内を誘導している構成やサウンド作りは、聴いている私たちもワクワクします。

米国のポッドキャストコンテンツを牽引するクリエイター達は残念ながら私たちのようなラジオ業界が中心ではありません。むしろ新聞記者や作家、映像クリエイター、音楽家などが多く牽引している。また「Wondery」「Gimlet」といったポッドキャストのコンテンツを作る企業も数多く出現し、多額の資金調達も、M&Aなども数多く起こっています。

ポッドキャスト=ラジオではなく、全く新しい自由なオンデマンドメディアに成長しているのです。目に見える情報より、音を使った「想像力」で心を動かす。私たちの生活時間に新しい「体験」をもたらしています。私自身は新しいサウンドを使った取り組みを「アイズフリー・メディア」と呼んでいるのですが、日本にもその波は来ると思っています。
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文=砂流恵介

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