先日、映画『ボヘミアン・ラプソディ』でフレディ・マーキュリー役を熱演したラミ・マレックがポッドキャストのオーディオドラマ『Blackout』の主演を務めると発表されたのは、その象徴的な例といえるでしょう(3月20日より配信開始されています)。
ラミ・マレックは『Blackout』の主演に関して次のように述べています。
「最近は今まででは想像できないほど沢山の人がポッドキャストを聞くようになった。ポッドキャストはラジオからしか情報を得られなかった時代に戻っているような感覚があるけど、またみんながそのよさに気づき始めてるよね」(筆者訳)
eMarketerの調査によると、アメリカの人口約3億5000万人の22%、約7300万人の人が月に1回ポッドキャストを聞いているそうです。また、広告費は伸びており、2020年には約700億円になると予測されています。
ではなぜ、アメリカでポッドキャストが再ブレイクしているのでしょうか? その事情に詳しい方の話から考えていきます。
話を聞いたのは、TBSラジオ メディア推進局・インターネット事業推進部 部長の萩原慶太郎さん。萩原さんは今聴くべき人気コンテンツや再ブレイクしている背景について教えてくれました。
ニュースの枠を超えたNY Timesの「The Daily」
まずはじめに、今アメリカで一番人気のポッドキャストをご紹介します。それが、NY Timesの「The Daily」です。毎月500万人以上のオーディエンスがいる大人気のポッドキャストで、「The Dailyが今日は何を取り上げたのか」がウェブメディアのニュース記事になるほどです。
The Dailyは毎日ひとつのテーマを深掘りして20分~30分くらいの長さのポッドキャストを配信しています。番組の内容はニュース原稿を読み上げるといったものではありません。インタビュー音声や電話での会話音声、ニュース音声や現場の環境音などを縦横無尽にカットアップ&ミックスした形式です。
ニュース音声といえば原稿の読み上げや専門家のトークが通常ですが、「The Daily」は「聴いている人たちが何の音を聴けばどのように想像するか?」を考えて構成しています。毎日違うテーマで聴いている人を様々なイメージへ誘うコンテンツは、メディア界に衝撃を与え、全米1位のコンテンツになりました。