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2019.04.14 11:30

災害時に頼れる「つながる自動運転車」 アメリカやイスラエルで開発進む

shutterstock.com

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ホワイトハウスにいる赤いネクタイの男が何を信じようが、何を言おうが、世界の97%以上の気象科学者によると、地球温暖化が年々深刻になっているのは事実だ。

そういう地球温暖化が本当かどうか論争も続いているが、個人的な経験から言わせてもらうと、僕が初めて東京に来た1979年の夏、最高気温は32度を超えなかった。しかし、現在はしょっちゅう35度を超えている。40度を超えた地域もある。つまり、たった40年間で、東京の最高気温は3度ほど上がったことになる。これは大変なことだ。

日本は年々だんだんと暑くなってきているし、そういう異常気象による自然災害が増えつつある。台風、山火事、豪雨のニュースが世間を騒がしている。また、地震大国でもあるこの国において、災害時に重要なデーター収集やニュース受発信の対策は重要な課題となっている。

そこで有効になるのが、「つながる自動運転車」こと「コネクテッド自動運転車(Connected Autonomous Vehicle)」だと説明するのが、アメリカの名門カーネギー・メロン大学のカレン・ライトマン氏だ。

同氏が言うには、コネクテッドAV車が重要な情報を発信することによって、人が災害エリアから避難する際の緊急対策ネットワークとなり、救急車などの緊急車両を派遣することもできる。

完璧なコネクテッドAV車であれば、リアルタイムで車内にて高速データー処理を行い、他のコネクテッドAV車とつながって、情報を共有するなど「災害ロボット」ともいえる働きをする。このシステムは、自然災害地で交通状況なども伝えることができるという。

ライトマン氏によると、今現在、コネクテッドAVのテスト車両はGPSナビ機能を使うと同時に、携帯電話を搭載することによって、周りのコネクテッドAV車と情報交換をしている。

「携帯電話の役割が重要ですね。やはり、災害が起きたら、リアルタイムでできるだけ早くAV車で移動し、対応してもらいたい」とライトマン氏。

カーネギー・メロン大学が実施している「メトロ21」では、携帯電話を装備したコネクテッドAVテスト車に、ニューヨーク州の山脈の写真を収集させ、その中に映るデーターを分析することによって、地滑り、土砂災害を予測し、その迂回ルートを計算させている。

僕もここ10年間、今開発中のインテリジェント・トラフィック・システム(ITS)について、多くのカーメーカーの技術者と話をしているけど、コネクテッドAV車の重要なパーツは、やはり携帯電話だ。自動車の運転者、歩行者、サイクリストなど皆持っているから、車両や人の動きを正しく収集するのに欠かせないツールだといえる。

一方、イスラエルの緊急医療サービス「ユナイテッド・ハッツァラ」では、自然災害が起きた時に、その周辺の交通状況を把握し、災害地に緊急車や緊急要員を迂回ルートを通して送り込むシステムを開発した。2015年にネパールで起きた大地震とハイチで起きたハリケーンという自然災害で緊急要員を送り込んだときに、このイスラエルの緊急医療サービスが利用されて人の命を助けている。

さらに、アメリカ・ワイオミング州では、携帯電話搭載のカー対カー、インフラから受信できるクルマを採用することによって、嵐やハリケーンの予測、道路状況を発信している。

コネクテッドAV車は災害の初期段階で頼れる第一手段だと思う。コネクテッドAV車が災害地への迂回ルートや道を知らせてくれることにより、緊急要員がクルマやヘリに乗り、被害者を助けることになるからだ。地球環境が緊急性を帯びる今、コネクテッドAV車はおおい期待されている。

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
「ライオンのひと吠え」 過去記事はこちら>>

文=ピーター・ライオン

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