握手をかわす楽天の三木谷社長とNBAコミッショナーのアダム・シルバー
──現在のバスケットボールリーグを取り巻く状況をどのように捉えていますか?
グローバルスポーツというと、サッカー、ラグビー、バスケットボール、野球など色々ありますが、その中でバスケットボールは日本でも競技人口が非常に多く、サッカー同様に女子もプレーしやすい。コートのサイズもコンパクトなので、広大な土地を持たない日本でも、気軽にプレー出来ます。
ただ、Bリーグは盛り上がっているけれども、競技人口の割には、他のグローバルスポーツと比べるとまだそれほどでもない。そう考えると、NBAという世界最高峰のコンテンツを、将来的にはプレシーズンゲームだけでなく、レギュラーシーズンゲームも日本で出来るような形で深く踏み込んでいけたら面白いかなとは思っています。
──NBAで連覇を果たしているウォリアーズ、さらにはカリーとのパートナーシップについてはどんな考えがあったのでしょうか。
楽天は今、アメリカでのビジネスもかなり大きいです。日本だけでビジネスをやっているわけではない。NBAの放映については日本が中心ですが、ウォリアーズやカリーとのジョイントプロジェクトはアメリカマーケットを中心に考えています。
──世界最高のスポーツイベントの1つとも謳われるスーパーボウルでも、楽天は1枠数億円のコマーシャルでプロモーションを仕掛けましたね。
そういうものを通じてブランディングを行い、楽天がトヨタ、ソニー並みのブランドになれたら良いなと思っています。
──ヴィッセル神戸や東北楽天ゴールデンイーグルスの国内チームとは違い、海外のコンテンツを日本で広げる難しさもあるかと思います。
10月に開催が決まったジャパンゲームズですが、日本では2003年以来やっていませんでした。毎年NBAが来てもらえるような形を作って、それが身近なものになっていけば、海外のコンテンツでも日本で広がっていくのではないかと思います。
サッカーの場合はワールドカップやアジアカップなど、色んな形で世界を身近に感じる機会があるのだと思います。バスケットだって、マジック・ジョンソン、ラリー・バード、マイケル・ジョーダンがいた時代はすごく人気があったじゃないですか。それこそ慣れだと思っているんですよね。
──楽天がNBAにもたらす要素とは何でしょうか。
中国ではテンセントがNBAのデジタルコンテンツを統合しています。日本ではNBA.comと楽天がそれぞれNBAの視聴パスを運営していますが、現在は、両サービスともに楽天の会員IDを使ってサービスを利用することができるようになりました。
ビデオストリーミングやスタッツ、ファンコミュニティーなど様々なコンテンツもありますが、それらを統合して、色んな形で新しいモデルを作ろうとしています。それが成功すれば、アメリカにも提案できるようになるんじゃないかなと思っています。(以上)
では、NBA側から見て、楽天や日本のバスケットボール市場はどのような存在なのか。明日の記事で、NBAアジアのマネージング・ディレクターを務めるスコット・リヴィー氏、NBAのデピュティ・コミッショナー兼COOを務めるマーク・テイタム氏の話を紹介する。