都内でも観光地でも なぜ「謎解き」が流行っているのか?

図1


1. 遊びながら観光地や地域資源を学べる
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例えば、観光地にある立て看板やビジターセンターの説明表示は、普通に読んでもなかなか頭に入ってこない。ところが、それが謎解きゲームという「遊び」になると一転、情報の習得は能動的になる。そこで学んだ地域のストーリーやヒストリーは、強く印象に残るようになる。

2. 初期投資が少なくて済む

新しい観光地をつくるとなると巨額な投資が必要になるが、謎解きは、立て看板やマップがあれば始められ、ハード面の投資はほどんど必要がない。観光地はもちろんであるが、集客要素に悩む廃墟や商店街も、謎解きを通じて“観光地化”することもできる。
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3. 滞在時間や周遊機会を誘発できる

観光地のひとつの課題として、自治体は滞在時間を延ばして周遊機会を増やすことを考えている。滞在時間が伸びれば、食事を摂ったり、宿泊率したりと、地域での消費額を向上させらるからだ。

周遊型の謎解きは、それなりに時間がかかる。すると、通常1時間ほどしか滞在しなかった場所でも、2〜3時間とどまることになり、食事や休憩などで消費額向上への貢献が想定される。また、通常は入場料をとらない施設や場所でも、謎解きをきっかけに課金することも可能だろう。

4. 「人」のコストが少ない

地方創生においては、「人がいない」ことが課題となる。きれいな海があるからダイビングをやりましょう、見晴らしの良い丘があるからパラグライダーをやりましょう、提案するのは簡単だが、地域ではそれを実行する人がいないというのだ。

しかし、周遊型の謎解きであれば、運営スタッフは受付のみで、特定の人材でなくても運営ができる。企画さえしっかりつくり上げることができれば、地元の人たちでも、あまり負荷がなく回していける。

5. 人数制限がほぼない

アクティビティには、スタッフ1人が1時間当たりに稼げる金額が決まっているという課題がある。ラフティングは1艘に乗れる人数は決まっているし、陶芸体験も一度に50人を教えることはできない。労働集約型なので、1回の体験を提供するうえでの上限に限界がある。

その点、周遊型の謎解きゲームは、施設やエリアの規模によるが、かなりの人が同時に楽しむことができる。美術館や水族館などと同様で、在庫の概念が限りなくない。

6. 若者層の取り込みに有効である

高齢化する今、観光地ももれなく若い層の取り込みに頭を抱えている。中でも、寺社仏閣や庭園を眺めるような観光地は、よほどでない限り、若い層には支持されにくい。しかし、そこに謎解きゲームを導入することでターゲットは広がり、学生や20代など、アクティブな若者層を取り込むことができる。



このように、周遊型の謎解きゲームは、観光誘客施策としては、たいへん魅力的なポイントがたくさんある。ただ、日本各地で増えてきているため、ただの謎解きだけではインパクトも薄くなっている。謎解きブームにのるにしても、今後は、地域の固有の観光資源を活用した独自性やいっそうの企画力が求められてくることは間違いない。

さて、最初の謎の答えは、以下の通りである。

(1)迷路を通ると「トオラナイミドリウエカラヨメ(通らない緑、上から読め)」となる。
(2)通らない緑を上から読むと「ヨスミヨメ(四隅読め)」となる。
(3)四隅を読むと左上から「カンコウ」となり、答えは「カンコウ(観光)」となる

このような謎解きをしたい方は、観光地での謎解きゲームに挑戦してみてほしい。


連載 : 「遊び」で変わる地域とくらし
過去記事はこちら>>

文=内田 有映 謎制作・協力=鈴木大輔

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