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ハッシャダイ代表取締役 久世大亮

地方出身の非大卒向けに東京での衣食住を無償で提供し、ビジネススキルやプログラミングなどを学ぶ機会を提供する人材育成事業、その名も「ヤンキーインターン」を手がけるハッシャダイ。2018年4月にDMM.com(以下、DMM)の子会社となった彼らが挑む「日本の教育を変える社会実験」の全貌を、代表取締役 久世大亮が語る。

10年かかることが3カ月で可能になるかもしれない

──最初に、ヤンキーインターンを始めたきっかけを教えてください。

ぼくは京都で生まれ育ったのですが、高校時代は友達がほぼヤンキーという環境でした。ほとんど学校に通わず、パチンコやアルバイトに明け暮れる日々で。このままではいけないと思い、一念発起して猛勉強をして大学に通ったんです。大学でも勉強はあまりしなかったのですが、インターンでさまざまな経験をしたことが自分を成長させてくれました。

その後に地元に帰ってみると、友達は高校のころと何も変わっていなくて。ぼくが経験したことを友達も経験すれば変わるのか、どうすればこうした「体験格差」をなくすことができるのか、という好奇心から始めたのがヤンキーインターンでした。

ヤンキーインターンでは、地方にいる非大卒人材に東京まで来てもらい、衣食住を無料で提供しながら、3カ月間でビジネススキルやプログラミングの基礎を学んでもらいます。これまで約300人が参加し、就職を希望した9割以上が就職先を見つけています。

──今年4月にはDMMの子会社となりました。そこから約半年が経ちましたが、何か変化はありましたか?

何もないですね(笑)。ただ毎日、DMMの亀山会長に相談をするんですよ。昨日も3時間くらい喋りましたし、週に何回かは直接会って話をさせてもらっています。

──資本提携を決めた理由は?

資本提携を行う半年前くらいから亀山会長から声をかけられていて、最初はのらりくらりとかわしていたのですが、話を聞くうちにできることの違いが明確にあると気付いたんです。つまりハッシャダイだけでやっていたら10年かかることが、DMMと組むことで3カ月で可能になるかもしれないと。

2020年の東京オリンピック以降、日本の景気は確実に悪くなると思うんです。その前にハッシャダイとしてのブランドを構築し非大卒市場を大きくしようと思い、子会社化を決めました。


今年7月から入居した原宿の新オフィス。約30人のスタッフはほとんどが20代だ。

「移動」と「教育」の社会実験

──ヤンキーインターンによって、いまの社会の何を変えたいと思っていますか?

最終的に目指したいのは、18歳になるときの選択肢に「ハッシャダイ」が加わること。現状は、大学に進学するか、地元の企業に就職するという選択肢しかありません。

しかし、高卒で就職しようとするとひとりの生徒が応募できる企業は1社までとする「1人1社制」という慣行がある。そのうえ「Fラン(=Fランク大学)」と呼ばれる大学は増え続けていて、そこに属する学生ほど奨学金を借りる割合が高いという現状もあります。大学卒業後に就職できなければ、収入がないのに借金を数百万抱えている、といった負の連鎖が起こっているのです。

ぼくらは「移動する体験」を提供することで、こうした状況を変えていきたい。移動をすることによって経験が増え、さまざまな人の価値観に触れることができるからです。やっぱり家族や友達といったいつもの集団のなかにいると、人間はなかなか変わることができないですから。

文=庄司智昭 写真=小田駿一

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