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(Indeed / Getty Images)

小学生以上のお子さんがいる家庭では、「宿題先にやろうね」「宿題やった?」「宿題まだ終わってないの?」といった会話は日常茶飯事だろう。

挙げ句の果てには、「いつもご飯の前にやってって言ってるでしょ」「毎日の事なのにどうして先にやらないの?」と、気がついたら子供に説教していたなんてこともあるはずだ。

日本人は真面目なので、「アサインされたらきちんとやる」ことが染み付いている国民性がある。その実直さが、世界には類を見ない製品の質の高さや細やかさ、公共交通機関のタイムリーさなどに現れているのは事実だ。

とはいえ、これからの子どもに大切な資質や能力は「批判的思考能力(クリティカルシンキング)」や「創造力」と言われ、暗記型の学習だけでは将来の活躍は危ぶまれるのは薄々気づいている人も多いはず。

教育先進国フィンランドの学校には宿題がない。それでも93%の子どもは高校を卒業し、国際的な学力の比較で良く見られるOECD生徒の学習到達度調査(PISA)の平均点では科学、数学、読解力のどの分野でもトップ10入りしている。


Michal Knitl / Shutterstock.com

また、アメリカ・バーモント州にあるオーチャード小学校で実験的に半年間宿題をやめてみたところ、学力に低下は見られず、逆に自宅での余裕が生まれたために、想像力や思考力を育むきっかけができたとの評価をしている。

科学技術が未曾有の勢いで進化を遂げ、待ったなしで社会変化が訪れている時代に、昔と同じように出され、むしろ増加傾向にある宿題は、子どもにとって、家庭にとって有益な存在なのだろうか? 3つの問いからの考察を紹介したい。

まず宿題の目的を4つに整理してみる。

1. 学んだ新しい知識やスキルを、定着のために復習する
2. 教室で仲間といる時間を有効に過ごすために予習をする
3. 家庭学習習慣をつける
4. 学校で実施する事が困難なので、家庭に託される宿題(例:夏休みの自由研究や読書感想文)

それぞれの目的から、教育的効果の是非について考えてみたい。

宿題に教育的効果はあるのか?

1. 学んだ新しい知識やスキルを、定着のために復習

公文式に代表されるように、定着のために一定のインターバルをおいて反復をすることは、脳科学的にも効果が認められている。ベストセラーとなった勉強法の本「Learn Better」の作者、アーリック・ボーザーはこう言っている。

「専門分野を身につけるには反復が必要だということだ。専門分野の力を伸ばすためには、その専門分野に何度も、できれば何通りもの方法で取り組む必要がある」

同じことは知識についても言える。広告宣伝分野でも認知を取るために最低3回同じ広告を「見せる」べきという定説があるが、同書では、心理学者のグレアムナットホールの研究を取り上げ、ある概念が本当に身につくまでには少なくとも3回は「取り組む」必要があると述べている。

ただここで前提となるのが、宿題で試されている知識やスキルの反復は、対象の生徒にとってまだ身につけていない内容であるという点だ。すでに学校外で習得していた内容に関する宿題が出される場合には、こなすための時間が有効なのかというと疑問がある。一斉授業における宿題の多くは、レベル設定が個別化されていないことに課題がある。

2. 教室で仲間といる時間を有効に過ごすために予習

それでは、復習ではなく予習目的での宿題はどうなのか?

予習型の学習では、授業の前に動画で単元について学んでおき、授業ではクラスメイト間での学びあいやディスカッションなどに時間を使う「反転授業」という授業スタイルが注目されている。

米国の研究データでは、反転授業で学ぶ生徒の成績は、通常の授業を受ける生徒より下がることはほとんどなく、授業への参加率や満足度は改善するそうだ。しかし、反転授業を実施するための準備コストは大きいので、我が家の子供たちの場合は、このタイプの宿題は出されなかった。

唯一予習型といえるのは漢字学習だが、漢字学習については、予習をしたからといって、授業で学び合いやディスカッションが積極的に実施されるものではないので、反転授業のような満足度の効果は見込みにくい。どちらかというと、反復による知識の定着がメインの目的と言える。

文=竹村詠美

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