2018年12月、 本家フィンランドでは、130カ国以上から約2万人の参加者と3100以上のスタートアップを集めたSlush。2008年に始まったこの祭典は、いまや東京、シンガポール、上海にまで拡大。
ロック・フェスティバルのような光と音の飛び交う空間で繰り広げられるセッションは、ほかのピッチイベントとは異なる「Slushという文化」として、世界のスタートアップが集うコミュニティに発展している。
今年で5回目となる「Slush Tokyo」は、2月22日、23日の2日間にわたって東京ビッグサイトで開催。昨年のイベントには、東南アジアなども含めた世界80カ国から8000人以上が集まった。
それに先駆けて2月19日には先行記者発表会が開かれ、壮大なイベントの裏側が明かされた。「Slush Tokyo 2019」の見所はもちろんのこと、それを支える人々にも注目したい。
今年のテーマは「Call for Action」。実際に動く人を助けたい
写真はSlush Tokyo 2018より(C)Petri Anttila
「Slush Tokyo 2019」では、2日間で70以上のプログラムを実施され、40人を超える起業家や投資家が登壇する。その内容を理解するのに役立つのが、Slush Tokyoが毎回設定するテーマだ。今年は「Call for Action」。
テーマの狙いを、Slush TokyoでCOOを務める慶應義塾大学SFC3年の柿嶋夏海は、ピッチイベントにありがちな「議論で満足して終わり」ではなく、実際に新しいビジネスに挑戦する人たちの背中を押し、既にアクションしている人たちを加速させることだと説明する。
「昨年のテーマ『Breaking Barriers』は、自分の殻や他者との壁を破り、より多様なつながりを生むことが目標でした。ですが、近年は日本でもスタートアップの存在が当たり前になり、オープンイノベーションなど大企業との提携も進んでいます。いまの切実な課題は、『私たち一人ひとりがどうアクションするか?』ではないでしょうか」
このテーマを反映した目玉企画のひとつが、HRを中心とした成長産業を支援するフォースタートアップスとの共同プロデュースで開催される「Advisory Program」だ。これは最先端の起業家や投資家に、実際に自分の事業について相談できるメンタリングプログラム。
メンターを務めるのは、『ニューエリート』著者でもある元グーグルのピョートル・グジバチ、ユーザベース チーフテクノロジスト / UB Ventures テクノロジーパートナーの竹内秀行、gumi代表取締役会長の国光宏尚らだ。
また会場では、興味をもった参加者にイベント開催期間中にミーティングをリクエストできるツール「Slush Matchmaking Tool」を使用できる。昨年は600人のスタートアップ関係者と200人のインベスターが利用し、2日間で511件のミーティングがセッティングされている。
学生ボランティアが主導。世界で拡大を続ける「Slushコミュニティ」
写真はSlush Tokyo 2018より(C)Petri Anttila
そんなSlushの大きな特徴は、柿嶋を含めた学生メンバーが運営に深く関わっていることだ。「Slush Tokyo 2019」当日には、学生をメインとする400人のボランティアが参加する。その希望者は600人を上回っていたというから驚きだ。
先行記者発表会の進行を務めたのも、学生をメインとするボランティアメンバー。会場では、彼らが海外の参加者と英語で会話し、来場者の疑問にテキパキと答える姿が散見された。