ビジネス

2019.01.27

未来型ビジネスの街、アムステルダムのサーキュラーエコノミー最前線

アムステルダムにあるサーキュラーエコノミープロダクトを多く扱う「The Maker Store」


──世界的に注目されているサブスクリプションのビジネスモデルとサーキュラーエコノミーは相性が良いのですね。同モデルの一番の肝としては、やはりサプライチェーンの見える化でしょうか。

サーキュラーエコノミーのベースはサステナブル(持続可能)であることなので、サプライチェーンのどの段階においても無理がなく、環境や社会、人に優しいアプローチであることは大前提となります。サプライチェーンが透明であれば、生産におけるあらゆるストーリーを知れて単純に楽しいですし、そうやって作られたものはやっぱり大切にしたいと思うじゃないですか。

マッド・ジーンズでは、工場労働者の有給休暇日数や女性従業員数などの労働環境をWebサイトに公表していますし、ブロックチェーンですべてのサプライチェーンに関わった企業の情報を公開し、情報操作などの不正ができないような仕組みを構築しているメーカーも出てきています。

何より自分が買ったものが、どのように世界にインパクトを与えているかを知れる。自分がこのようなプロダクトを手にすることで、世界が少しずつよくなっていくんだと実感できるのは嬉しいですよね。

──サーキュラーエコノミーは、今後どのような広がりを見せそうでしょうか。

現在70億人いる世界の人口が、今後2100年までにさらに40億人増えるということを考えると、現在の消費形態では地球の資源は確実に枯渇します。今まで行政や企業などで環境について取り上げる際、主にCSRの取り組みという位置付けで、どちらかというと経済の足を引っ張るようなイメージで捉えられてきました。

でも環境が破壊されると経済が成り立たない……ということにリアリティが増してきた現在、経済と環境という2つのファクターは、切っても切り離せない存在になっています。そのような状況下では、より長期的な視野で物事を考え、行動していくことはもはや当たり前。

実際にヨーロッパでは、2030年のSDGsの開発目標では短期的すぎるということで、長期的なゴールとして独自に2050年プランを発表する行政が多数存在しています。

それぐらいの長期目標から、政治、行政、ビジネスモデル、一般市民の生活、地球環境、そして私たちに残された資源に至るまですべてを俯瞰してみると、サーキュラーエコノミーのような持続可能なモデルが、どの分野においても必要不可欠なことが自然とわかってきます。


安居 昭博◎1988年生まれ。ドイツ在住サスティナブル・ジャーナリスト、映像クリエイター、サーキュラーエコノミー研究家。Webマガジン「Earthackers (アース・ハッカーズ) www.earthackers.com」編集長。ドイツのWebマガジン FUNKENZEITの映像制作、インタビュアーを担当。

連載 : クリエイティブなライフスタイルの「種」
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文=国府田淳

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