ジャストエッグは、緑豆由来のタンパク質を使った商品だ。同社は来年初め、中国の販売企業やフードサービスを通し、同商品の販売を始める予定。販売には、電子商取引大手の京東集団(JDドットコム)やアリババグループ、アリババが所有するスーパーチェーンの盒馬(Hema)、食品の栽培から調理までを管理する上海のレストラン、ハンター・ギャザラー(Hunter Gatherer)などの注目企業との提携を利用する。
この動きは、ジャストのアジアでのビジネス拡大において次の大きな一歩だ。ジャストは、新たな植物由来食品を開発し、細胞から培養した2つの肉製品発売の準備を行う中、アジアでのビジネスの将来性は大きいと見ている。
同社は2011年、ハンプトン・クリーク(Hampton Creek)として創業され、最初のヒット商品は卵の代わりに植物由来のタンパク質を使ったマヨネーズ風商品、ジャスト・マヨだ。それ以降、商品ラインには他の植物由来食品が加わり、今年は長く待ち望まれていたジャストエッグがとうとう発売され、米国ではソーシャルメディアなどで大きな注目を集め、大々的に宣伝された。米国では、同商品を使用するレストランや販売店舗が増えている。
しかしテトリックは、将来の大きな成長は中国本土にあると見ている。中国では農地が乏しくなり、環境汚染や気候変動の問題が悪化している。また、つい最近農村地帯から都市へと移った数百万の国民にとっては、食糧不足の記憶もまだ新しい。こうした状況で、販売業者や技術に精通した食品販売企業は、従来の畜産農業への代替策を熱心に求めている。
中国では、1980年代まで政府の配給制度があり、特に貧困層や農村地域では定期的に食料不足が起きていた。「多くの人は、食料がない状態がどういうものかについて強烈な記憶を持っている。中国の文化や近年の歴史の中には、それがまだとても生々しく残っていると思う」とテトリック。
「米国や欧州で食糧不足のことを話しても、まるで頭が6つある人を見ているような顔をされるが、中国では全員が携帯電話から顔を上げる」
中国では、都市への移住と富の拡大により卵や肉の消費が増えた。経済協力開発機構(OECD)によると、中国の消費者の肉消費量は平均的な米国人と比べればまだわずか半分ほどだが、中国全土での肉の消費量は世界の消費量の約28%に当たり、中国は世界最大の肉消費国だ。