ビジネス

2019.01.13 16:00

細胞培養肉を開発の米新興企業 アジアでの事業に将来性

JUSTの共同創業者、ジョシュ・テトリックCEO(Photo by Neilson Barnard/Getty Images for New York Times)


中国政府は2016年、中国の消費者に肉の消費量削減を促すため、環境保護の取り組みを開始した。それでもオランダの銀行ラボバンクは、中国での肉消費量がこれからも増えると見込んでいる。
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現時点で、ジャストはまだ肉商品を市場に投入していない。しかし同社は、細胞培養で作った鶏肉商品を30~60日で発売するための規制の枠組みを整えるべく、アジアの3つの管轄区域と協力してきた。

またジャストは今月、日本の和牛生産者である鳥山牧場と世界的な食肉販売業者であるアワノ・フード・グループ(Awano Food Group)と提携し、鳥山牧場の有名な牛肉から細胞培養した肉の開発を始めると発表した。

「肉を違う方法で作ることができるとしたら、プレミアム肉を作った方が良いと思う」とテトリック。「プレミアム和牛を作るコストは、安いひき肉を作るコストと比べても、もはやそれほど変わらない」
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同商品も、アジアで最初に発売される可能性が高いとテトリックは語る。細胞培養肉に関する議論がまだ継続中の米国と比べ、アジアの方が規制のハードルを容易にクリアできることが主な理由だ。米食品医薬品局(FDA)と米農務省(USDA)は先月、両機関が「細胞培養食品製品」と呼ぶ食品の規制を共有する暫定計画を打ち出した。

テトリックは、企業が米国で細胞培養肉を販売できるよう規制を整えるための取り組みを声高に支援してきたが、アジアの市場の方が早く実現すると考えている。

「本社は米国にあるので米国を軽視するわけでは全くないが、米国以外の消費者の数が非常に増えている。米国では規制の枠組みが設定されることを願っているが、現時点では非常に大きな制約となる」

ジャストは鳥山牧場との提携により、プレミアム牛肉を作るため数世代にわたり飼育されてきた和牛の中で、厳選した牛から採取した細胞を四半期ごとに提供される。テトリックによると、鳥山牧場が毎月食肉処理する牛の数は30頭ほどだ。そのため研究室で細胞から肉を育てれば、動物を育てて殺すことなく大衆にプレミアム牛肉を供給することができる。

またジャストは今年、香港を拠点とするブリンク(Brinc)とアクセラレータープログラムを通して協力し、起業家にジャストのデータや原材料、技術革新を提供することで、従来の動物由来製品の代替製品の開発を支援している。新たな開発商品には「メード・ジャスト(Made JUST)」のロゴが付き、ジャストはロイヤルティーを得ることとなる。

テトリックはスタートアップに加え、アジアの大企業との提携も視野に入れている。「当社は、自分たちが完全に新たな業界を作り出していると考えている。中国にはこの分野で技術を作ってほしいし、製造企業大手と協力し、この瞬間に新たな業界を創出したい」とテトリックは述べた。

翻訳・編集=出田静

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