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シネマ未来鏡

2018年は予想外のヒット作品が次々と生まれた。代表的なのは「カメラを止めるな!」で言を俟たないだろう。

当初の製作費わずか300万円の作品が、興行収入30億円以上をあげた。

もともとこの作品は、映画や演劇の専門学校であるENBUゼミナールが製作し、配給も行っていた。6月23日から新宿と池袋のミニシアターで公開はスタートしたが、第1週目から人気を呼び、満員札止め状態に。テレビの情報番組などで、大入りが伝えられると、映画会社のアスミック・エースが共同配給として名乗りを上げ、8月に入ってからは100館、200館と上映館が増え、最終的には全国300館以上で上映される拡大公開となった。

口コミであと伸び「ボヘミアン・ラプソディ」

映画会社が、これほどまでのヒットになるとは予想もしていなかった作品が、「ボヘミアン・ラプソディ」だ。当初は、どちらかというとファン向けの音楽映画として見られていた。ところが、アメリカでの第1週目の週末興収第1位を受け、遅れること1週間、11月9日に日本でも封切られ、堂々、興収第1位を記録、幸先の良いスタートを切った。

特筆すべきところは、観客動員が週ごとに増加していったことだろう。いわゆる「あと伸び」していったのである。作品を観た人の高評価の口コミが、この現象を生み出した。12月16日の時点で、興収53億円を超え、「ジュラシック・ワールド2 炎の王国」(興収81億円)に次ぐ、2018年公開の洋画では第2位の大ヒットとなった。

また、2月に公開された「グレイテスト・ショーマン」(興収52億円)も、本国アメリカではあまり振るわなかったようだが、日本では予想外のロングラン・ヒット。こちらも音楽が重要な要素だったが、やはり観客の口コミが、長く支持される要因となった。

ネットフリックスの攻勢が観賞眼を養う

このように製作者や配給会社の思惑を超えたヒット作品が続々と生まれる背景には、配信でクオリティの高い作品を日常的に観ているという観客サイドの変化がある。

近年、ネットフリックスを中心に、実力派監督の作品をラインナップして、配信の目玉にするという傾向が顕著だが、アマゾンやアップルなどもこれに追随し、いまや劇場公開作品を凌ぐものさえ、定額料金のなかで観賞できるようになった。

そのため、観客サイドの目は養われて、作品に対する観賞眼も鋭くなっている。結果、出来の良い作品に対しては敏感に反応し、口コミで広がり、ヒットにつながる。日本の映画市場が、ある意味成熟してきた証拠で、原作の部数だけを当て込んだコミックの実写化などでは、そろそろヒットは望めない状況にもなっている。

配信でのオリジナルな良作が増えてきた2018年は、観客が映画にクオリティを求める元年だと、勝手に決めている。1年を締めくくる意味で、強く印象に残った作品を、洋画から10作品、邦画から5作品挙げたい。

文=稲垣伸寿

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