予想外の大ヒットが続々誕生、2018年のベストムービー15


「スリー・ビルボード」 2月1日公開
第90回アカデミー賞で主演女優賞と助演男優賞に輝いた作品。イギリスの著名な劇作家でもあるマーティン・マクドナー監督が、アメリカのミズーリ州の片田舎を舞台に、娘を殺された主婦の激烈なる復讐劇を描く。主人公の女性を熱演したフランシス・マクドーマンドのタフな演技に注目。

「アナイアレイション -全滅領域-」 3月12日配信
日本ではネットフリックスで配信。「エクス・マキナ」のアレックス・ガーランドが監督と脚本を担当。謎のバリアで覆われた地域で、生物が異常な発達を遂げたり、探索に行った人間が未帰還となったり、不可解な現象が起こる。前作同様、監督の美意識が色濃く反映された映像が素晴らしい。

「ラブレス」 4月7日公開
ロシアの実力派監督アンドレイ・ズビャギンツェフの、カンヌ国際映画祭審査員賞受賞作品。突然、失踪した息子の行方を追う、自分本位の両親。ふたりは離婚を決意しており、凍てつくような映像で、崩壊した家族の姿をサスペンスフルに描く。ラストシーンの慟哭の映像に戦慄する。

「ザ・スクエア 思いやりの聖域」 4月28日公開
「フレンチアルプスで起きたこと」を監督したスウェーデンのリューベン・オストルンドの作品。カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを受賞。アートのキュレーターとして活躍する主人公に襲いかかるトラブルを、ややシニカルにユーモアを交えて描く。テスラのハンドルを握る主人公が印象に残る。

「モリーズ・ゲーム」 5月11日公開
「ソーシャル・ネットワーク」でアカデミー脚色賞を受賞した脚本家、アーロン・ソーキンの初監督作品。オリンピックをめざしていたアスリートが、ゴージャスなポーカールームの経営に転身、その栄華と凋落を描いた作品。強い女性を演じさせたら当代随一のジェシカ・チャステインが主演。

「フロリダ・プロジェクト」 5月12日公開
iPhoneで撮影した映画「タンジェリン」で注目を集めたショーン・ベイカー監督の作品。フロリダのディズニー・ワールド近くのモーテルに住む6歳の少女と母親の日常を、カラフルな原色の映像で描く。その色彩と裏腹の希望のない暮らしのなかで、少女は冒険に満ちた日々を送っていたが。

「グッバイ・ゴダール!」 7月13日公開
ヌーベルバーグの鬼才、ジャン=リュック・ゴダールの2番目の妻で、「中国女」の主演を務めたアンヌ・ヴィアゼムスキーの自伝的小説を、「アーティスト」のミシェル・アザナビシウス監督が映画化。天才ゴタールを翻弄する、19才の女子大学生を演じたステイシー・マーティンの魅力が炸裂。

「運命は踊る」 9月29日公開
イスラエルのサミュエル・マオズ監督の作品。ベネチア国際映画祭銀獅子賞(審査員グランプリ)受賞作品。運命に翻弄される家族の物語で、多少時間軸をずらし三部構成で語られる構成は秀逸。独特のカメラアングルとアニメーションまで使用した映像がドラマチックな演出を醸し出す。

「ボーダーライン: ソルジャーズ・デイ」11月16日公開
前作「ボーダーライン」にひき続き、いまハリウッドで最も実力が評価されているテイラー・シェリダンの脚本。前作では脇役だったベニシオ・デル・トロが物語の主役となり、国境地帯を舞台に、重厚な人間ドラマが展開されていく。監督は「暗黒街」などの作品があるイタリアのステファノ・ソリマ。

「ROMA/ローマ」 12月14日配信
「ゼロ・グラビティ」のアルフォンソ・キュアロン監督の5年ぶりの新作が配信(ネットフリックス)で観られる。米「Rolling Stone」誌の年間ベスト1にも選ばれた作品。1970年代のメキシコシティ郊外ローマを舞台に、ある一家とそこで働く家政婦の物語がモノクロで描かれる。監督の自伝的作品でもある。
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文=稲垣伸寿

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