「現場の仕事が一番好き」という彼女は、キャリアパスを体現することが自分の使命だと語った。
──アルバイトで入社して役員にまで昇進する、というのは並大抵のことではないと思います。もともとキャリアアップを強く意識しながら働いていたんですか?
本当は、店舗に立って現場で動いているのが一番好きなんです。アルバイトから社員として登用され、店長になるまでは、自分で望んだキャリアでしたが、そこから先に進むときは、本社から声がかかるたびにすこし躊躇していました。
というのも、2006年にアルバイトとして入社して、働くうちにどんどん仕事が楽しくなり、スープストックトーキョーが大好きになっていったんです。
店長時代の目標は、様々な店舗を経験して、アルバイトの育成や店舗運営を模索しながら、店長の仕事を極めること。自分が現場に立ちながら、店舗を盛り上げていくことに情熱を感じていました。
だから、複数の店舗を統括するマネジャーになるなどして、少しずつ現場から遠くなっていくのは、私にとっては寂しいことでした。いまでもやっぱり、現場での仕事が好きだなと思っています。
どうして昇進し続けてここまできたのかというと、社内のロールモデルになることも大切なんじゃないかと考えたからです。私のようにアルバイトから入社しても役員になるチャンスがスープストックトーキョーにはあるんだ、ということを示すべきなのかな、と。
──どんな店長でしたか?
自分で言うのも恥ずかしいですが、正義感が強くて、仲間を守りたくなるタイプ。アルバイトや社員を育てることが大好きでしたし、彼らが困っているときには助けずにいられない。下町育ちなので、江戸っ子特有の情の厚さがあるのかもしれません(笑)。
その一方、店長時代の私は、素直で従順という感じではなく、上司とぶつかることも多かったですね。社内の仕組みなどで変えたほうがいいことや、疑問に思ったことは、自ら伝えるタイプ。上司からすれば、主張が強い部下でしたね。
──本社勤務になってからは、どのようにキャリアを積まれたのですか?
店舗から法人営業グループへ異動して、冷凍スープの専門店「家で食べるスープストックトーキョー」のブランド立上げや、17店舗の新店立上げに携わりました。
16年にスープストックトーキョーがスマイルズから分社する直前に、上司から「商品やデザインだけでなく、“人の魅力”こそが一番だと言われる会社にしたい。その責任者になってほしい」と告げられ、スープストックトーキョーの取締役兼人材開発部部長に就くことになったんです。