内容はいたってシンプル。「つみたてNISA」対象の投資信託4種類のなかから好きな商品を選択し、毎月3000〜5万円の範囲で定額積立をする。
その購入代金を、丸井グループが発行するエポスカードで支払えるのだ。証券業界としても画期的、かつ、丸井グループとしてもまったく新しい取り組みとして注目されるなか、代表取締役CEOとして抜擢されたのが、寒竹明日美だ。
──丸井グループにとって、証券への進出は社の威信をかけた挑戦でもあったと思います。そんななか、証券代表取締役CEOという大役に寒竹さんが抜擢された経緯は、どのようなものだったのですか?
tsumiki証券のサービスのコンセプトは「誰でも、気軽に」。いままで投資をしたことがない人や、学生さんや若い社会人にも興味を持ってもらいたいと思っています。
自分で言うのもおかしいかもしれませんが、私は見た目も性格も普通。自分のそんな性質が、tsumiki証券のイメージにぴったり合っているんだと思います。
──とはいえ、証券というのは個人のお金を取り扱う分野ですから、専門的な知識も必要ですよね。
そうですね。私は1997年に丸井グループに入社して、最初に下着の販売を経験した後、経理部に異動したんです。
そこからは数年おきにジョブローテーションはありましたが、簡単に要約すると、丸井グループ全体の経営計画・事業計画の策定などに携わり続けていました。
IR部の課長として投資家との対話を担当したこともあったし、丸井グループにはエポスカードがあり金融にはまったく関係ないわけではなかったけれど、証券部門はジャンルが違いますし、未知の分野でした。
そのため、証券事業の立ち上げが社内で決定すると、約3カ月かけて、弁護士や投資の専門家など、様々な人に会いに行って情報を集めて、勉強しました。
──プレッシャーは感じましたか?
いろいろな人に会って情報を集めていたとき、なかには「無謀だ」「畑が違うのだから、投資信託には手を出さないほうがいい」とはっきりとアドバイスする人もいたんです。
でも、不思議と迷いを感じることは一度もありませんでした。怒られて伸びるタイプというか、厳しいことを言われたほうが、かえってやる気が出るんです。開始前に辛辣な意見を聞いた分だけ、周到に用意ができるから。