その機能とは、ヘッドフォン端子のことではない。「Patently Apple」の記事で、アップルが指紋センセーの復活を検討中であると報じられた。この指紋センサーは新世代のものになるという。
新型の指紋センサーはディスプレイ内蔵型のもので、Patently Appleによるとアップルはこのモジュールのサプライヤーとして、中国のO-filmや台湾のGISとTPK Holdingらを検討中という。また、新型指紋センサーがまず採用されるのは来年のiPadで、その次にiPhoneに搭載される見込みという。
iPadが先になるのは、アップルがiPadのベゼルサイズを減らし、iPadやiPad Miniのホームボタンをなくしたい意向だが、Face IDを搭載してコストを上昇させたくないからだという。ディスプレイ内蔵型の指紋センサーであれば、これらの課題を一挙に解決できる。
また、新型指紋センサーをiPadやiPad Miniでまずテストすることで、iPhoneの上位機種やiPad Proに採用する際のリスクを下げたい狙いがあるという。Patently Appleによると、O-filmやGIS、TPKの3社はサムスンのGalaxy S10で採用される超音波型ディスプレイ内蔵指紋センサーのサプライヤーだ。超音波型指紋センサーは従来のセンサーよりも認証スピードが速く、精度も高いという。
既存のディスプレイ内蔵型センサーは認証速度が遅いのが難点だが、アップルは超音波型センサーが、以前のタッチIDセンサーに置き換わるテクノロジーになると見込んでいる。
超音波型指紋センサーの採用は、アップルが競合と戦う上で大きな武器となる。顔認証のFace IDはたしかに優れたテクノロジーかもしれないが、指紋認証のほうが便利な場合もある。
アップルは自社製のディスプレイ内蔵型指紋センサーの特許を出願していたことが、今年8月に発覚していた。つまり、同社は以前から新たな指紋センサーの導入を検討中だったのだ。
さらにいうと、今後は複数の生体認証を組み合わせることも想定できる。顔認証と同時に、指紋センサーでの認証を行うといったケースだ。アップルはかつて、iPhoneがパスポートを置き換えるデバイスになる未来を提示していた。完璧なセキュリティをもたらす上で、デュアル認証の実現は大きな前進となるだろう。
アップルが旧世代のテクノロジーである指紋センサーの再投入に乗り出すことは、からかいのタネにされる可能性もある。しかし、今でもヘッドフォン端子を求めているユーザーも多いのが現実だ。同社の超音波型ディスプレイ内蔵指紋センサーが、思いのほか歓迎される可能性も十分にありそうだ。