11月26日に開催した「Forbes JAPAN CEO Conference 2018」。同イベントは“ビジョナリー”をコンセプトに、これからの日本を牽引するビジョンを持つ大企業のCEOや、産業を変える可能性を秘めた起業家など約300名が一堂に会し、今後の日本を考えるセッションが開催された。
キーノートセッションには朝倉祐介(シニフィアン共同代表)、石川善樹(予防医学研究者)、井上浄(リバネス取締役副社長CTO)、竹中平蔵(経済学者) が登壇。安宅和人(ヤフーCSO)と谷本有香(Forbes JAPAN 副編集長)がモデレーターを務め、各分野のトップランナーが見据える、2050年の世界ついて考えを聞いた。
「1億総健康時代」がやってくる
谷本:今日はよろしくお願いします。まずお伺いしたいのは、みなさまが「2050年」をどのように捉えているかです。みなさまは、どのような時代になると予想されていますか?
井上:僕は「全人類が研究者として動き出す時代」にになると予想しています。自分がワクワクすることに全力で取り組めている。そんな時代になっていることが理想的です。
石川:世の中がもっと多様になっていると思います。こうしたイベントにも、女性やハンディキャップをお持ちの方がたくさん登壇しているでしょう。
朝倉:僕は“どんな時代になるのか”を考えるよりも、“どんな世界をつくりたいか”を考える方が重要だと思います。2050年まで残り32年ですが、30年の間で世界は大きく変化しました。例えば今から32年前、世界時価総額ランキングの大半を占めていたのは日本企業ですが、現在は米国と中国の企業が上位を独占している。これからの30年、いかに主体的な意識を持って動いていけるかが重要になるでしょう。
竹中:率直に申し上げると……わからないですね。中国・インドを筆頭としたアジア経済の急成長が落ち着き、今後爆発が期待されているアフリカ経済の成長もストップしているかもしれない。2050年がどんな時代になっているかはわからないですが、振り返ってみて「最も変化が起きなかったのは2018年だよね」と言われるくらい、これから劇的な変化が起きてくれればいいなと思います。
安宅:ありがとうございます。竹中先生も仰っていましたが、2050年の世界は予測ができず、もしかしたら私たちが抱えている課題、困難はなくなっているかもしれない。そうしたとき、みなさんはどのような未来をつくりたいでしょうか。思いつく限りの構想をお話しください。
井上:いま、私は研究者と共同で人体の研究していて、例えば便中の腸内細菌や睡眠などのデータを毎日蓄積しています。その研究のおかげで、自分の体のことがどんどん分かるようになってきました。今後、こうした研究を積み重ねていくことによって自分の体を統合解析できるようになり、一定の健康状態が保証されるようになるはずです。
病気の心配が必要なくなったとき、若い世代の人たちがやりたいことに挑戦できる環境をつくる。これが、私たちの役割だと思っています。「世の中にはたくさん面白いことがあるぞ!」というメッセージを伝えていきたいですね。