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2018.11.18 10:00

週に一度のグランピング出勤? 地方創生の鍵は副業にあり


1年間で白馬に訪れるスキー客は、スキーブームがあった90年代の140万人をピークに、いまでは40万人まで減少している。そんな土地で新たにグランピングフィールドを立ち上げるために必要なものは何か。それを副業としてサポートしてきたのが猪尾だった。

「大切なのは、新しいことを始めるために既存の業務を効率化して生産性を高めていくこと。それを実行できる人は、地域では不足していても、大都市の大企業にはたくさんいる。そういう人たちに副業でもいいから手伝ってもらうことで、地域の企業が新しい挑戦をする機会が増やせると思ったんです」

そう確信した猪尾は、約1年前にJoinsを立ち上げた。

グランピング事業の立ち上げを控えていた八方尾根開発には、WEB会議ツールやSlackなどITツールを導入。業務分担の明確化を通して既存の業務改善をサポートしている。過去に勤務していた博報堂やスタートアップでの経験が役立った。

猪尾のほか、Joinsを通じて人事やITエンジニア、財務など、大企業に所属しながら副業として八方尾根開発の業務を手伝っているのは50代前半の大手企業管理職経験者がほとんどだ。副収入の目的もあるが、定年前のスキルの棚卸しや、役職者としてではなく、現場でもう一度仕事をしたいという理由で始めた利用者も多いという。

トップが変われば地方は変わる

「オールシーズンのプレミアムマウンテンリゾート」を目標に八方尾根開発が改革を始めた10年前まで、会社の経営は全て非常勤の地元の人たちだけでされてきた。
 
当時社長に就任した倉田保緒は、福島県の「スパリゾートハワイアンズ」を再建した経験を持つ。徐々に大企業に勤めながら多様な経験を副業で発揮する人材も集まり、既存の社員と一緒に新たな挑戦を始めている。「FIELD SUITE HAKUBA」はその一貫だ。
 
「やはり白馬最大の魅力はこの自然。外国人スキーヤーの間では、アジアでは珍しい天然の雪がある土地として、白馬はニセコと並んで有名です。そして、この美しく広大な自然にSnow Peakが惚れ込んで、ここまでの空間を一緒に作り上げた。既存の業務を効率化し、余力を作り、新しいことに挑戦できれば、白馬に人が再び集まる可能性は大いにあるんです」


ダイニングテントとは別のテントでディナー後のバータイムを楽しむ。
 
ディナーが終わる頃には20時半になっていた。その後ゲストたちはラウンジに移動してバータイムを楽しんだり、露天風呂に浸かったり、就寝まで思い思いの時間を過ごした。
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文=守屋美佳

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