── 一見、乗り越えられないような大きな困難にぶつかったとき、どのような気持ちで挑むことが大切でしょうか?
起業家にとって困難は、その先に待つ感動のためのスパイスであり、その先には素晴らしい世界が待っている、と保証してあげるのが起業家の役割でもあります。
例えば、ゼロから信頼をつくりあげて初めてお客様を獲得したとき。資金繰りを乗り越えて初めて社員を雇ったとき。困難であればあるほど、その先に得る感動は大きく、忘れられない体験になります。
困難があるからこそ人生は楽しいし、乗り越えた体験が、起業家の人生を彩ると思っています。
「グリット力」と「自己内省力」の両立
──3つ目の「自己内省力」についてはいかがでしょうか?
「自己内省力」とは、何か課題が起きた時に、原因を自分の外側に探すのではなく、自分の内側に探す力です。
これは起業家というよりも、世の人みんなに言えることですが、「過去」と「他人」は変えられないけれど、「未来」と「自分」は変えられます。なので、どんなピンチでも、原因を自分の中に見出すことが重要です。
例えば誰かが辞めてしまった時に、「あのメンバーが悪い」と言っていると、必ず同じ課題が将来繰り返されます。そうではなくて、「これは組織・経営者の課題があるのではないか」と、自分自身を省みれば、変革のチャンスに変えられるわけです。
このように、すべての課題は自分からスタートする、という意識で世の中を見ることができれば経営者は楽しくなるし、ひいては周りのメンバーも楽しくなります。
──自らの変化を恐れない姿勢は、先ほどの「ビジョンは変えてもいい」という言葉と通ずる部分がありますね。
起業家は頑なな人が多い気がします。自分が正しいと信じたやり方を何がなんでも貫き通さないといけない、と考えがちです。
その頑固さも大事なことなのですが、「グリット力」と「自己内省力」は両立されてはじめて機能するものです。もし、自分の信じるやり方が間違っていると判断したときには、すぐに変化させるのも重要な素養です。
まずは「ビジョン構築力」でゴールを定める。ビジョンに描いたゴールにたどり着くための道のりは、つねに「自己内省」を繰り返して成長させながら、その時々で正しいと信じた道を「やりきる」こと。
これが成功する起業家にとって重要な素養だと思います。
連載 : 起業家たちの「頭の中」
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