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働き方革命最前線 ─ポストAI時代のワークスタイル

Dean Drobot / Shutterstock.com

セミナーや講演でのアンケートは、自分が翌日から起こすアクションを具体的に宣言するつもりで記入すると成長につながる、という話を前回しました。ただ、ここでの「具体的な宣言」にも、少しポイントがあります。

おそらく、回答者は具体的に書いているつもりだと思うのですが、よく見かける「心がけます」や「イノベーションを起こしてみせます」「顧客第一で頑張ります」などの言い回しは、具体的な言葉ではありません。

例えば、「顧客第一」という言葉。文字通りなら、会社の利益は第二にして、どこまでも顧客のために尽くすということになりますが、それでは経営になりません。だから、「顧客のために何をして、どうやって会社の利益とのバランスを取るのか」を考えなければいけないのに、ただ「顧客第一」と掲げることで、その中身を熟考することから逃げてしまっています。「イノベーションを起こす」も同様、まず、どんな問題意識から生まれる目的かを明確にするべきです。

つまり、これらは何か宣言をした気になってしまっているだけの言葉で、これではかえって思考が深まりません。こうした言葉をマッキンゼーでは「思考停止ワード」といって、自らの思考を深めない罠にはまらないようにしていました。

では、なぜ、こうした思考停止ワードに逃げてしまうのでしょうか。それは、「失敗するのが恥ずかしい」という思いから、つい踏み込むのを避けてしまいたくなるからではないでしょうか。

しかし、セミナーや講演は、そもそも自分に足りないものを明確にしたり、補ったりする機会です。そこで「恥ずかしい」と躊躇することは、成長の妨げにしかなりません。恥ずかしさを理由に一見やる気があるように見える思考停止ワードを連発していては、何も前進しないのです。

自分との議論をやめてはいけない

日常の会話でも、あまり考えず「深いですね〜」などと言ってしまったことはありませんか? 相手の話についていけなくなってくると、会話そのものが不安になって、つい「深い」「面白い」など漠然とした相槌を打ち、その場から逃げようとしてしまう。本来なら、ついていけないほど深く感じること、面白いと思う理由を話し込んでもいいはずなのです。

こうした相槌は、議論を避けるための技法でもあり、時には便利なこともありますが、議論を避けるということは、「他の人との議論」を避けてるだけでなく、「自分自身との議論」をやめてしまうということでもあるんです。

例えば落合陽一さんや石川善樹さんのように進化の早い人たちは、自分に対する議論をやめません。要するに、自分に理解できないことをごまかさないんです。だから、理解できるまで「こっちの角度から考えてみよう、あっちの角度から見てバリエーションを増やしてみよう」という風に、ずっと思考し続けるのです。

思考停止ワードは無意識に自分を守り、自分の成長を妨げるものです。ふとした時、自分が思考停止ワードに逃げていないか? 観察してみるのも面白いと思います。

連載 : 働き方革命最前線 ─ポストAI時代のワークスタイル
過去記事はこちら>>

文=尾原和啓

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