しかし、当たり前ですが人はセルフイメージ通りには生きられません。後輩に冷たい日があっても、投げやりな日があってもいいはずなのです。しかし、自分のセルフイメージに愛着ができてくると、それを守らねばならないと思い込んでしまったりします。
やがて、「私は人に優しくあるべきだ」と背負うあまり、「人に優しくない自分」や「優しくできない人」など、異なる価値観を許せなくなってしまいます。そこまで暴走してしまうと、固定されたセルフイメージによって自分や人を傷つけてしまうこともあります。
ですが、これは全て思い込みです。これもまた、前回の記事でもご紹介した「マインドワンダリング」の罠にハマっている状態でもあるのです。それでもセルフイメージにとらわれてしまうのは、自分のキャラクターに合わないことをしたときに、いまの組織やコミュニティから外れてしまう恐怖や、役割を見失うことに対する喪失感があるからなのだと思います。
例えばいつもいじられキャラな人は、内心ではいじられることに傷ついたりもしているのに、「いじられることを拒否したら、仲間から外れてしまう」と思い、そのキャラクターに甘んじてしまうことがあります。
インターネットで自分を解放してみる
では、どうしたら自分のセルフイメージと付き合いやすくなるのでしょうか。
まず、すぐにできる応急処置としてインターネットの世界にコミットしてみるのもいいと思います。極端な例かもしれませんが、会社では真面目に働く男性が、家に帰ると女装をしてインターネット配信をしているようなケースも、実は珍しくありません。これは、会社で自分がとらわれてしまっているイメージから一旦解放されることで、バランスを取っているのだと思います。
もちろんそこまでしなくても、匿名でブログを書いたり、SNSアカウントを作ってみるのもいいと思います。それが自分にとって没頭したり、夢中になったりできる作業だとなおいいでしょう。インターネットは、自分を解放できる場所でもあるのです。
こうしてバランスを取っていくうちに、次第に自分のセルフイメージと、そこから逸脱している自分が見えてくると思います。ここからが少し難しいですが、そのどちらにも名前をつけてあげるといいです。自分のとらわれ自体を言語化できると、そのとらわれから抜けやすくなるからです。
さらに応用編ですが、それらをラベリングし直す作業をします。例えば「いじられキャラ」なら、「会話の間をつなぐ役」というように、組織の中で作り上げたセルフイメージを、自分の言葉で訳し直してみるのです。そうすることで、セルフイメージを自分の側に寄せることができ、仲良くすることができるようになります。
方法論として足早にご紹介させていただきましたが、多くの場合、まずは組織の中にあるセルフイメージから一旦解放されることが急務だと思います。心に引っかかるものがあれば、まずはスマホで、なんとなく試してみるのもいいのではないでしょうか。
連載 : 働き方革命最前線 ─ポストAI時代のワークスタイル
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