「人生を変える授業」から考える、セルフマネジメントに必要なこと

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「他者をマネジメントするためには、自分自身をまずマネジメントできなければいけない」というのは、ピーター・ドラッカーの言葉だ。ドラッカーはマネジメントを体系化したことで「マネジメントの父」と呼ばれるが、その起点は「自分自身」に端を発すると強く主張している。

しかし、「自分自身をマネジメントすること」が大事そうだということはわかるものの、しっかり頭で理解することや、それを実行するのは本当に難しい。

そもそも「自分自身をマネジメントすること=セルフマネジメント」と聞いて、どんなことが思い浮かぶだろうか? そして、仕事や人生で結果を出していくために、セルフマネジメントの観点からどんなことが必要だろうか?

多くの人に「セルフマネジメントと聞いて連想すること・理解していること」を聞いてみたところ、「タイムマネジメント」「自分のタスク管理」「体調管理がしっかりできていること」「感情のコントロール」など、実に多くのイメージがあり、人によってそのイメージが違うことがわかった。

私とともにTransform社を立ち上げた1人に、ジェレミー・ハンター博士がいる。彼はドラッカー・スクールで長年教えているが、彼のクラスは、長年「人生を変える授業」と言われ続けている。

彼は「セルフマネジメントとは、瞬間・瞬間の自分の状態を適切にマネジメントすることから始まる」としている。そして、このことを意識し続けることや訓練なしに、セルフマネジメントも組織のマネジメントも成り立たないと主張する。

例えば、商談中に焦りや不安があれば話に集中できないし、自分の発言に自信が持てなかったりする。そんな時は、「今、自分は本当に上手く説明できているだろうか…」など 自分の頭の中との会話に終始してしまい、相手の表情や仕草など非言語の大事なシグナルに気づけないことも多い。

また、イライラしながらミーティングに臨んだとしたらどうだろうか。論点がまとまっていない発言をした部下に怒りをぶつけてしまったり、視野が狭くなり重箱の隅をつつくような質問をしたりして、議論が進まないことや、雰囲気が悪くなること、結果的に生産的なミーティングとは程遠い状態になることは容易に想像できる。
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文=稲墻 聡一郎

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