出発点は「夢」を描く力
──起業家にとって重要な素養を3つ挙げるとすると何でしょうか?
1つ目は「ビジョン構築力」。つまり「夢」を描く力です。
2つ目は「グリット力」。やりきる力です。
3つ目は「自己内省力」。自分の内側を変えていく力です。
つまるところ、起業家のすることとは「夢」を描き、それに向かってひたすら「やりきり」、「自分を省みながら」成長していくということにつきると思います。
──では、その3つの素養について、重要だと思われる理由をそれぞれお聞かせください。
うまくいく起業家というのは、周囲に応援されているものです。では、人が共感したり応援するために何が必要かというと、ピュアに描かれた「夢」だと考えています。
1つ目の「ビジョン構築力」は、社員や社外メンバーが拠り所とするための出発点となるものであり、起業家には必要不可欠な素養です。
2つ目の「グリット力」、いわゆる「やりきる力」が必要なのは、起業家は幾度も困難にぶつかります。どんな困難にぶつかっても、諦めてしまっては成功できません。逆にいうと、諦めなければ、成長してどんな困難も乗り越えることができます。頭の良さやスキルよりも、逃げずに「やりきる力」が起業家には重要です。
困難こそが起業家の人生を彩る
──「やりきる」ためには、やはりビジョンが重要になってくるのでしょうか?
そうですね。「ビジョン」がないと困難にぶつかった時にやめてしまいます。そのため、重要なのは、「うまくいくこと」ではなくて「やりたいこと」から事業をスタートすることです。
ただし、ここで気をつけなくてはいけないのが、「ビジョンは途中で変えても良い」ということ。真面目な起業家ほど、最初に描いたビジョンの字面に固執してしまう傾向があります。こだわるべきはビジョンの字面ではなくて、何故それを成し遂げたいのかという理由の部分。その理由が深ければ深いほど、周りの人が共感するし、自分自身が諦めない源泉にもなります。