1979年、ジョンズホプキンズ大学の教育学研究に端を欲したCenter for Talented Youth(以後CTY)プログラムは、これまでに述べ150万人の才能ある生徒たちの好奇心に火をつけてきた。
きっかけは、創業者の教授が一人の天才少年と出会い、学校では満たされていない彼の強烈な好奇心を伸ばす教育をしてあげたい、と動いたこと。「我が子も才能を持て余しているんですが……」と次々に持ちかけられる相談に応える形で、瞬く間に全米、そして世界へ広がった。
いまは香港を含む24カ所で、小学校2年生から高校生までを対象としたサマープログラムを展開しており、毎年この3週間のプログラムに、世界中から9500人が参加するという。米国外からの関心も強く、参加者の18〜20%が米国籍以外というから驚きだ。
サマープログラムに加えて、通年でオンラインコースも設けており、学校外で生徒の好奇心を満たすサポートをしている。今回、CTY Internationalのディレクターを務めるSimeon Brodsky氏が弊校の軽井沢のキャンパスを訪ねてくれ、2年越しで念願の面談が実現した。
CTYプログラムの3つの特徴
このプログラムの第一の特徴は、「何かひとつの領域に秀でていればいい」というコンセプトだ。参加資格を得るためにはSCATなどのテストを受けることが必要だが、Quantitative reasoning(算数に似た定量的思考力)とVerbal reasoning(語彙力や定性的思考力)のどちらかが一定レベル以上であることを求めており、「合計点」は問われない。
日本国内でも受験が可能だが、全て英語での受験となるため、英語の語彙力が相当なければクリアできないのが非英語圏の子にとっては課題となっている(日本での展開の可能性については後述)。
第二の特徴は、受験を目的としておらず、あくまで生徒の好奇心を徹底的に伸ばすことに主眼を置いていることだ。そのため、小学校2年生から高校3年生までを対象に100を超えるコースが用意されており、創作的な作文から微分積分、マクロ経済学や宇宙工学まで、様々なトピックについて深く掘り下げた授業が用意されている。
第三の特徴は、Brodsky氏曰く「We know you are very smart – so what?(能力があるのはわかるけど、で、それをどう使うの?)」という問いを大切にしているところ。
9年生からは「Civic Leadership」、10年生からは「Global Issues in the 21st Century」や「Institute for Advanced Critical and Cultural Studies」といったコースも開発されている。各コースとも毎夏世界中から100名ほどしか選出されない狭き門だが、今回私たちの学校を訪れてくれたのも、これらのコースへの勧誘を主たる目的としてのことだった。