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日本と世界の「教育のこれから」

Robert Kneschke / shutterstock.com

幼児教育を全面無償化にして、自己負担ができる家庭の分まで税金で払う余裕があるのであれば、その分を待機児童の解消と質の改善に振り分けるべきではないか、というのが著者の兼ねてからの問題意識である。

そう主張した際に、「待機児童の解消はわかるけれど、質の改善って具体的にどういうことですか?」と聞かれることが多いので、今回は質の改善に貢献する政策に限って具体的な提言をしたい。

前回記事に引き続き、日本の実情については、30年にわたり全国200カ所以上の保育園を手がけるポピンズ取締役・轟麻衣子氏とのインタビューをもとに、世界各国の幼児政策比較については、コロンビア大学とイエール大学で教鞭をとり、これまでに70以上の政府や自治体の幼児政策のアドバイザーを務めてきたSharon Lynn Kagan教授との米国でのインタビューをもとに論点をまとめる。


Sharon Lynn Kagan教授

1. 幼児教育に一貫性を

幼児教育と一口に言っても、多くの国々においてそれは2つのことを意味する。一つは、「生活のために働き始めた女性たちが子どもを任せる先として端を発した社会福祉としての託児所」で、保健省の傘下にあることが多い。日本で言うところの保育園である。もう一つは、「小学校教育よりも前に、子どもたちの脳の発達が最も活発で感受性も豊かな時期に教育をする場」で、教育省の傘下にあることが多い。日本で言うところの幼稚園である。

ところが近年、働く女性が増え続ける中で、両者の境目が極めて意味のないものになっており、これを踏まえて、世界各国で両者を統合する動きが進んでいる。我が国でも、両者が別々に存在することで、非効率な縦割り行政になっているだけでなく、国家として幼児教育としてどういった資質を身につけて欲しいと考えるか、一貫性のある議論ができていない。

我が国では先ごろの学習指導要領改訂によって、「1. 知識及び技能、2. 思考力、判断力、表現力等、3. 学びに向かう力、人間性等」からなる「生きる力」の重要性が明確に謳われるようになったが、この対象となっているのは就学前はあくまで幼稚園のみである。3〜5歳児の45%が保育園に通っている時代に、である。

Kagan教授によれば、質の高い幼児教育を実現するための最重要課題は、「一貫したカリキュラム、教員養成及び研修過程、および施設の評価制度」であるという。また教授は、香港、韓国、シンガポール、オーストラリア、フィンランド、イギリスの研究事例を元に、「必ずしも省庁を統一することにこだわらず、各省庁の間にブリッジ機関を作る、あるいは自治体レベルで融合するなど、様々な方法がありうる」と指摘する。我が国でも、長い目で見るとまずはここから着手すべきなのではないだろうか。

2. 養成課程と資格制度の見直し

ただし、どの国でも上述のような一貫性を持たせる仕組みづくりには長い年月をかけている。その間にも年間400万人近い子どもたちが保育園や幼稚園に通っていることを考えると、もう少し早く打てる手立てはないものかと思ってしまう。

待機児童が社会問題化する中で、受け皿の急拡大と保育士不足が深刻化しているため、保育士の国家資格試験の回数を増やしたり、延長時間における保育士資格保持者の制約を緩めたり、と言った規制緩和がなされてきたのは、前回記事でも見た通りである。

文=小林りん

 

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