従業員が職場で声を上げられるためにまず重要なのは、自分の見解や不満を誰もが安心して言える環境を作ること。職場は、常に安心して声を上げられる場所ではないかもしれない。ハラスメントに関する場合は特にそうだ。
実際に、米国では職場のハラスメントを告発した従業員の75%が、何らかの報復を受けているとの調査結果がある。現在の職場が、チームワークや率直な意見交換、フィードバックのできるような環境でない場合、人事部門の責任者に相談しよう。
次にすべきは、声を上げる方法や適切な状況を理解すること。例えば、何らかのハラスメントを受けたのなら、それを告発するのは正しい行為だ。一方で、批判を受けた時に反発するのは不適切だ。
以下に、職場で声を上げる理由となるものを挙げる。
・ハラスメントやいじめを目撃した時
ハラスメントは、大企業が抱える特に大きな問題のひとつだ。米国で行われた調査では、女性の少なくとも4人に1人が職場でのセクハラを経験したことがあると回答した。さらに従業員の75%が、職場でのいじめの被害者または目撃者となったと回答している。いじめを含むあらゆるハラスメントは、話題にするのが難しく、時には認知することすら難しい。しかし、ハラスメントを目撃したり、自分自身が受けたりした場合は声を上げ、人事部門へ報告することが重要だ。
・ブレインストーミング会議の最中
ブレインストーミング会議に臨むときは、貢献できるよう努力すること。自分の意見やアイデアを出すことで、職場での存在感が増し、敬意を払われるようになる。さらに、自分が貢献し積極的に協力していると感じることで、充実感も得られる。
・何かをクリアにする必要がある時
自分が混乱していると認めることは、誰だってしたくないだろう。特に仕事上ではそうだ。しかし、たとえ自分から説明を求めることで頭が悪いと思われる心配があるとしても、取り組んでいるプロジェクトの目指す目標を明確に理解しておくことは重要だ。理解できていないことを知ったかぶりするよりも、「クリアにしたいことがいくつかあります」と言った方がよい。
・違法行為を目撃した時
当然のことに思えるが、違法性が疑われたり、あからさまに怪しげだったりする行為を目撃した場合、告発することは重要だ。備品のペンを盗むような軽微なものもあれば、納税滞納のような深刻なものもある。後者のケースでは、私のクライアントの一人が、税務署から罰金を受けたことで初めて、経理責任者が正しい処理をしていなかったことを知るという痛い目に合った。経理部の誰かがCEOへ一言忠告していさえすれば、不要ないざこざや出費は避けられたはずだ。
・何かが“おかしい”と感じた時
何かがおかしいと感じた時、その直感は大抵当たっている。自分の直感を大切にしよう。