今後のブランド競争
大麻産業に特化したデータ分析企業ニュー・フロンティア・データ(New Frontier Data)のジョン・カギア執行副社長(業界分析担当)は「ブランディングは、事後の補足的なものから、大麻関連企業の競争戦略の中心的側面へと変化した」と指摘。医療用大麻を使う患者と嗜好用大麻の消費者との間では、消費の動機、商品の好み、購買傾向に大きな違いがあるが、それぞれのグループ内にも大きな違いが存在すると語る。
「特定の消費者層を効果的に識別でき、各グループの優先事項や好みを反映したブランディング戦略とマーケティング戦略を立てることのできたブランドが、成熟が進む市場の中で競争するための最良なポジションを得ることができる」
大麻ブランドの未来
大麻マーケティングの行く末について理解しようとする時、別の商品分野でのブランディングの歴史から推測してしまいがちだ。比較対象の代表例としては、タバコ、ビール、ワイン、スピリッツなどがある。
大麻のブランディングは、これらと同じどころか、似たような道をたどることもないかもしれない。しかし、同じようなビジネス上の目標は達成できるはずだ。マーケティングに精通した酒類生産業者が恩恵を得てきたブランディングの教義や慣習の多くは、大麻産業にも定着することだろう。
大麻産業の将来を曇らせるのは、マーケティングに関する厳しい制約だ。こうした制約により、創造性の新しい波が生まれるとともに、大麻の栽培業者や卸売業者、薬局はコモディティ・トラップ(製品が急速に日常品化すること)を簡単に回避することができるかもしれない。
ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院のフィリップ・コトラー教授(国際マーケティング)はかつてこう記した。「もしあなたがブランドではなくコモディティなら、価格が全てとなり、低コストの生産者のみが勝者となる」