非精神作用物質のCBDは、大麻に含まれる化学物質のカンナビノイドの一つ。別のカンナビノイドであるテトラヒドロカンナビノール(THC)のように多幸感を生じさせることはないため、選手らを“ハイに”させることなく、痛みを軽減することができる。さらに、抗炎症性作用もあると考えられている。
BIG3の決定は、CBDなどの効能を認め始めているプロ、学生のスポーツ団体にとって、素晴らしい知らせだ。また、まだ効能を認めたわけではない団体も、少なくとも選手たちが医療面において何を必要としているのか、大麻(特にCBD)がどのような有用性を持つのかについては学びたいと考えているようだ。
米国のプロバスケットボールリーグ(NBA)やプロアメリカンフットボールリーグ(NFL)、野球のマイナーリーグはこれまで、大麻に対して非常に厳しい態度を取ってきた(ハフィントンポストによれば、野球のメジャーリーグは大麻に関して最も進歩的な方針を打ち出しているものの一つだという)。
一方、NBAやNFLなどに比べ、伝統的に選手の大麻の使用に寛大だったプロアイスホッケーリーグ(NHL)の選手会(NHLPA)の幹部は7月、「NHLとNHLPAが今後、リーグに所属する選手の大麻の使用について、非公式な合意に達することはあり得る」と発言した。
元NHL選手のライリー・コートはこれよりも前、「対戦したNHL選手の半分は大麻を吸っていた」と述べていた。NFL選手のマーテラス・ベネットもまた、「NFLの選手の89%は大麻を吸う」ことを明らかにしている。
これらの割合には、嗜好(しこう)目的で大麻を使用している人も含まれているかもしれない。だが、スポーツ選手の多くは、医療目的で大麻を吸っている。そして、症状緩和のために長期的に使用するものとしては、CBDは従来から使われてきた鎮痛剤よりはるかに安全だ。鎮痛剤の多くは、危険なほど依存性があるオピオイド系だ。
選手には「新しい薬」が必要
身体的に過酷な状態で練習を続ける選手たちに、痛みを取り除くものが必要なのは明らかだ。主要なスポーツ団体は全て、薬物検査に関する独自のルールを定めており、どの程度まで大麻の使用を容認するかについての基準はさまざまだ。
だが、そうしたなかで大麻については、基準の緩和に関する議論が活発化している。大学スポーツにおいても、全米大学体育協会とその会員の多くが、大麻の使用に対する姿勢を軟化させている。
大学バスケットボールの選手だった筆者は、多くのアスリートたちが大量の抗炎症薬やオピオイド系鎮痛剤に頼っていること、これらを毎日服用している人も多いことをよく知っている。元NFL選手のカルビン・ジョンソンは、チームドクターやトレーナーたちは選手に、“キャンディーのように”オピオイドを配っていたと話している。
そして、多くの人がすでに、オピオイドが米国にどのような影響をもたらしたかを知っている。抗炎症薬についても、多量の服用は不健康であるとの見方が強まっている。
スポーツ医学においてはこれまで、大麻に関する詳細な研究はあまり行われてこなかった。一方で、CBDは選手にとって、長期的な影響や依存症を心配することなくけがを治すために何としても必要な治療薬だと考える人は多い。CBDの有用性を証明するための、さらなる研究が必要だ。