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アーティスト 井田幸昌

20世紀型の資本主義社会が限界を迎え、次々に進化するデジタルテクノロジーが、社会のあらゆる常識を覆し始めている。

そんないま、生まれたときから世界とつながり、お金でもモノでもない「豊かさ」を求める若い世代がいる。彼らは、少し上の大人たちとは違ったやり方で未来のあたりまえをつくろうとしている。

Forbes JAPANでは、次世代を担う30歳未満のイノベーター30人を選出する特集「30 UNDER 30 JAPAN」をスタート。

アート部門のひとりに、アーティストの井田幸昌が選ばれた。井田は、スタートトゥデイ前澤友作の現代芸術振興財団が主催する、若手アーティストのアワード「CAF賞」にて審査員特別賞受賞、レオナルド・ディカプリオファンデーションオークションへの参加など、世界各国のコレクターに作品を所蔵されている。そんな井田に、創作の原点や将来の展望を聞いた。

創作テーマは「一期一会」

──20代にして都内に大きなアトリエを構え、国内外にコレクターがついています。なぜこうも早く創作環境を確立できたのですか?

先達の方々から見れば、全然まだまだと思いますけどね。ただ東京芸大在学中から、何よりも描くことに集中して制作し続けてきたことは大きいかもしれない。すべては作品があってこその話なので。

アーティストとしてやっていくにはどうすればいいか。早い時期から考えていたのもたしかです。10代のときは、一時期、墓石を彫る職人をやっていました。そのときに仕事の段取りや、そもそも仕事とは何なのかということを叩き込まれて、それがいまの活動に役立っています。

絵を描いたりオブジェを彫ったりする訓練は積んでいても、仕事の進め方を学んでいるアーティストはほとんどいない。みんなけっこうそこで苦労しているみたいですよね。

──早くも作風が出来上がっているという印象もあります。

人物像を中心に据えるペインティングが今のところは多いですね。やっぱり人間がいちばんおもしろいと感じるので。絵画だけにこだわるつもりはないです。今後は立体作品なんかも増やしていくつもりもあって、どんどん変わっていくとは思いますね。

創作のテーマが「一期一会」であるのは、デビューしたころから変わっていなくて、これはずっと続いていくのかなという気はしています。石屋の職場を辞めるとき、親方が「人生一度きりだ」と言ってくれた。その言葉にハッとして、以来いつも心に留めるようにしています。


Bob (2015) Oil on wood panel 1000mm×1000mm


自分の感じるリアルを描く

──アートを志したきっかけはなんですか?

アートというか、自分の中では「ものづくり」をしているという言い方のほうがしっくりきます。父親が造形作家だったので、その作品や生き方を見ていたことの影響は大きいと思います。

10代のころはグレていた時期もあったのですが、何かをつくっている時間だけは自分の中で不思議としっくりきた。これなら続けられるなと直感したし、実際に今も続けているのだから、当時の感覚はきっと当たっていたんだなと思います。

ものづくりを続けるうえで自分の中に基本としてあるのは、「職人魂」みたいなものです。自分がつくったものを見て誰かが喜んでくれる瞬間が何よりも嬉しいし、仕事ってきっとそういうものですよね。

人を喜ばせるのは、一朝一夕じゃできないこと。何でも10年20年やらないと、薄っぺらいだけで見透かされてしまいます。ひとつのことを突き詰めていかないと。その対象が自分にとっては作品づくりだったということです。

文=山内宏泰 写真=小田駿一

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