日本能率協会が行った今年4月の新入社員に対する働くことへの意識調査によると、仕事のやりがいを重視し、成果・実力主義を志向して、自分の能力を高めていきたいと望んでいる新入社員が6割を占めたという。
また、ベンチャー企業やスタートアップ企業にあえて挑戦し、自分の成功体験を自ら作ろうとする若者がいる一方、「安定」を求めて大企業やブランドが確立されてきている企業へ就社しようと考える人と二分化されているように思えるという話を現立教大学大学院教授(元東京大学大学院准教授)の中原淳先生から聞いたことがある。
大手企業や老舗企業の人事からは、「私たちもイノベーションが必要なので、エッジの聞いた人材を採用するのですが、2〜3年すると丸くなってしまうんですよね……」とか、「結局エッジの効いた人材は1年もたたないうちに辞めてしまって……」という話も。
定型業務かどうかに関わらず「時間で働く」という20世紀的製造業の労働概念の延長上にある長時間労働や、最終目的や期待される成果貢献内容も示されないまま古くからの慣習に従って、時に無駄かもしれないことを「これをやれ」とさせられる仕事等々、「良き古き時代の20世紀型働き方」に基づくマネジメントが今も多くの企業での働き方基本的な文化になっているとすれば、仕事を通じた自己の成長と貢献が認められるやりがいのある仕事を求めて入社する若者にとって、そのギャップはとても大きいのではないだろうか。
パフォーマンス・パートナーリングで働きがいをつくる
IKIGAIを「働きがい」に置き換えてみよう。「働き方改革」も結果として望ましいことが、皆が働きがいをもっていきいきと働けるような環境を作る事だとすれば、構造的な問題も多々ある中で、一人ひとりから始めることができることとして、パフォーマンス・パートナーリングの実践を進めたい。
人の目標達成や仕事を通じての成長に大きな影響を及ぼすのは、マネージャーだ。若い世代へのマネジメントに悩むマネージャーもいる今だからこそ20世紀型マネジメントのマインドセットから一歩踏み出して、21世紀のマネージャーになってみてはどうだろうか。人事評価制度が目的のパフォーマンス・マネジメントではない。
働く一人ひとりが仕事を通じて達成したいと思うことをパフォーマンス達成のパートナーとして伴走するパートナーだ。部下の目標と会社の目標の一致を促し、部下のやりたい、達成したいを応援する。部下は、積極的にチャレンジし、自己の成長を目指す下記のサイクルを上司とともにつくっていく。
1.仕事における自分の興味と会社の目指す方向(目的)の一致=自分の目指したいパフォーマンスゴールの設定 「好きな仕事か」
2.仕事を通じた学びと発展=周囲の人間や上司からのフィードバックやコーチング「得意なことか、得意にしていけるか」
3.達成したことの確認=成果 「得意がもたらす成果:報酬が得られること」
4.貢献の認知=組織への貢献とそれに対する報酬社会にもたらした価値の認知「社会の必要に応じた」
5.成長実感=成果達成と貢献の認知による成長の認識=幸せ、働きがい
6.さらなる挑戦と学びへ
IKIKGAIにヒントを得て、「働き方改革」を「働きがい」に変える第一歩は、身近なところから始められるかもしれない。