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(photo by Getty Images)

ビル・ゲイツやマイケル・ブルームバーグロバート・スミスといった富豪たちはいったいなぜ、私財を感染症対策や脳科学研究に投じるのか。ビリオネアの寄付から学ぶ新時代のノブレス・オブリージュ。


医療や生命科学、貧困。富豪たちがいま、まるで競うように私財を投じている分野だ。そんな彼らの行動を俯瞰するとある特徴が浮かび上がる。インパクトだ。

ゲイツは感染症対策を支援し、ポリオの発症数を激減させたが、それには20年もの月日を費やしている。テクノロジーの現場では高速でイノベーションを起こし、短期間で世界を変えた天才たちでも、社会問題の解決には時間を要する。だから支援するテーマは1つに絞り、集中的に資金を投下して最大限のインパクトを生む寄付を試みるのだ。

ここで、この分野に挑む大富豪7人を紹介しよう。



1. ポール・アレン|生命科学研究

マイクロソフトの共同創業者。1975年にビル・ゲイツと同社を立ち上げ、現在はポール・G・アレン財団を運営。脳科学研究や疾病対策など多様な事業を支援している。NFLのシアトル・シーホークスなどプロスポーツチームのオーナーとしても知られ、シアトルの再開発事業のほか、宇宙探査にも資金提供する。

アレン脳科学研究所は、2003年に設立した独立系の非営利組織。生命科学に関する研究結果を世界中の科学者と共有することに重きを置くことが特徴で、同氏はこれまでに10億ドルを拠出している。17年には人間の脳神経回路の動きを詳細に観察できるデーターベースをネットで無料公開した。

「事業の目標は、人間の全ての脳細胞の3Dカタログをつくること。謎が多い脳を解明しなくてはいけない」とアレンは語る。



2. ロバート・スミス|マイノリティー支援

310億ドルを運用するソフトウェア業界専門のプライベートエクイティ(未公開株)投資会社、ビスタ・エクイティ・パートナーズのCEO。富裕層が存命中、または死後に資産の半分以上を慈善活動に寄付することを誓約する寄付啓蒙活動「ギビング・プレッジ」に署名した最初のアフリカ系米国人である。

2018年の世界ビリオネア・ランキングで最も裕福な黒人となったスミスの保有資産は44億ドル。その多くをマイノリティー支援に拠出している。国立アフリカ系米国人歴史文化博物館に2000万ドルを寄付し、黒人の歴史の保存を目指す事業を援助。コーネル大学には5000万ドルを寄付し、黒人や女性の学生増を後押しする。マイノリティーが直面する困難に心を砕き、多様性と機会の平等を重視する社会を築く。



3. マイケル・ブルームバーグ|地球温暖化対策

通信社ブルームバーグの創業者。証券会社ソロモン・ブラザーズの共同経営者を経て1981年に同社創業。ウォール街の金融機関に情報端末を販売して巨万の富を築いた。グローバル事業やメディア部門を立ち上げた後、ニューヨーク市長となり3期務めた。2014年には国連の都市・気候変動担当特使に任命される。

ブルームバーグはこの4月、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」にアメリカが拠出するはずだった今年の負担分450万ドルを肩代わりすると表明した。昨年トランプ大統領が協定離脱を決定し国際社会から非難の声が出ていた。

同氏は「アメリカは約束している。政府が守らないなら私がやる。私にはそれができるから」と言う。環境保全の重要性を訴え、今回の表明とは別に国連の同様の取り組みに1500万ドルを寄付する。



4. カーリ・ツナ&ダスティン・モスコヴィッツ|貧困対策

モスコヴィッツはハーバード大学を中退し、ルームメイトだったマーク・ザッカーバーグがフェイスブックを立ち上げるのを手伝った。2008年、同社を辞め、タスク管理ツールを開発するアサナを創業。12年にフェイスブックがナスダックに株式上場すると、彼はストックオプションで巨額の富を手にした。保有資産114億ドル。

貧困や子供の教育問題を解決する取り組みを支援する慈善事業基金「グッド・ベンチャーズ」を、彼は元ジャーナリストの妻、ツナ(写真)と設立した。実績をみるとワーム・ザ・ワールド・イニシアチブ(駆虫事業)に3200万ドル。ケニアに住む貧しい人々に現金を渡すギブ・ダイレクトリーに5200万ドルとインパクトの大きい数字が並ぶ。「この献金で今日最も疎外されている人たちの不必要な苦しみを防ぐことができる」と彼らは語る。

文=ミケーラ・ティンデラ 翻訳=岡本富士子/パラ・アルタ 編集=北島英之

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