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アメリカの金融界ではいまも、アフリカ系アメリカ人が認められるのは容易ではない。ビスタのロバート・スミスをビリオネアに導いたビジネスの手法は、固定観念を超えたものだった。

休暇シーズン真っ盛りの土曜の午後。ビスタ・エクイティ・パートナーズの創業者ロバート・スミスは、マイアミで最も人気の「1ホテルサウスビーチ」にいながら、マイアミの半径10マイル圏内ではだれもしていないような格好をしていた。グレーの格子縞のスーツに、アクセントとしてインディゴブルーのネクタイ、ピンクのペイズリー柄のポケットチーフというコーディネート。トレードマークのスリーピーススーツで決めていた。

スーツを着ない日はないというスミスだが、もちろんマイアミにいたのは休暇のためではない。この日の彼は、取引先のソフトウェア企業のCEOのみ数十名を集めて開く年2回の週末研修を行っていた。彼が求める企業経営のあり方をCEOたちに叩き込むためだ。

スミスが異色なのは、スーツ姿だけではない。プライベート・エクイティ(PE)投資会社は、投資先企業を有機的な集団として扱うことはまずない。それに、キャッシュを生み出す資産を担保に資金を調達することで発展してきたPE会社が、ソフトウェア企業に手を出す例はこれまでなかった。担保にできる有形資産がほとんどないためだ。ところがスミスは、ビスタの18年の歴史を通してソフトウェア企業だけに投資してきた。マイアミに集まった投資先企業のCEOの顔ぶれが、それを証明している。

例えば、セキュリティソフト企業である「ピン・アイデンティティ」のアンドレ・デュランドCEOや、学級管理ソフトウェア企業である「パワースクール」のハーディープ・グラティCEOなど。マイアミに招集された彼らは、人工知能などの差し迫ったトピックについて意見交換が始まるのを待っている。スミスは、投資先企業の経営を向上させるために、常勤コンサルタントを100人以上配置している。

「彼らは、ソフトウェア企業の経営の基本というものを教わったことがないのです」

スミスは、1ホテルサウスビーチでのランチブレイク中、ベジバーガーをかじりながらそう語った。

「我が社は地球上の他のどんな組織より、その基本を教えることに長けています」

スミスが比較の対象としている企業には、オラクルやマイクロソフトのような企業も含まれるが、ビスタが稼ぎ出す数字は、この大胆な発言を裏付けている。金融データ企業「ピッチブック」のデータによると、テキサス州オースティンに本社を構えるビスタのPEファンドは2000年の創業以来、リミテッド・パートナーに手数料差し引き後で年間22%のリターンをもたらしている。エグジットが反映されるスミスの最終的な年間実現収益率は驚異の31%。スミスのファンドはすでに140億ドルの分配金を支払っており、そのうち40億ドルは昨年1年で支払っている。

損失を出したことは一度もない

ビスタは買収ファンド、クレジットファンド、ヘッジファンドといったさまざまなファンドを通じて310億ドルを運用する、米国で最も急成長中のPE投資会社となった。スミスはそれらの莫大な資金を使って猛スピードで投資を行い、10年以降、ソフトウェア企業204社を買収した。この数は、世界のどんなテクノロジー企業や金融会社より多い。17年には、旗艦買収ファンドの資金調達で110億ドルを集めたが、すでにその半額以上を、いつも通りB2Bソフトウェア企業に投じている。

「ビスタには、こうしたソフトウェアが企業にとってある種の中枢神経系であることがよくわかっているのです」

マイケル・ミルケンはそう指摘する。ミルケンは、債券市場で革新的なビジネスモデルを考案し、それによって、言うなれば現代のPEビジネスを生み出した人物で、ビスタが行った2つの投資取引に、共同投資家として名を連ねている。ビスタの投資先企業のすべてを合わせると、従業員5万5000人、売上高150億ドルとなり、世界第4位の企業向けソフトウェア会社に相当する。

スミスが迅速に投資を行う理由は簡単だ。他のPE投資会社は基本的に、非効率的な企業を見つけ出して経営を改善するやり方に頼っている。それに対してビスタは、経営状態のよい企業であっても、自分たちならその経営をさらに改善できると考えており、18年間、買収によって損失を出したことは一度もないと断言する。

「我が社のシステムの一番の自慢は、損失を防ぐ仕組みになっている点です」とスミスは言う。

文=ネイサン・バルディ 翻訳=木村理恵

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