マネー

2017.08.01

本田圭佑が本気で「1兆円企業」を目指す投資先

Photo by GettyImages

「このエピソードは話していいかわからないんですけど……」

メキシコ1部リーグのCFパチューカへ移籍したばかりの7月、本田圭佑は8月1日に重大発表をすると言い、その中身をForbes JAPAN編集部に打ち明けた。そのとき冒頭のように言い、サイバーエージェントの藤田晋社長に初対面で会った際、次のように切り込んだと話し始めた。

「2016年の秋頃、教育系のIT起業家に頼んで藤田さんをつないでもらったのですが、そのとき、いきなり僕の方から『Makuake(マクアケ)に出資させてください』って言ったんですよ。そしたら藤田さんから、会社内で話してみますねと言われました。そりゃ大きい会社だからそうだよなと思っていたら、数時間後に『大丈夫ですよ』という返事です。“決断、早っ!” と感じたのは今でも覚えていますね(笑)」

8月1日、本田圭佑がサイバーエージェントの子会社に出資することを明らかにした。出資先は、クラウドファンディングサービス「Makuake」を運営するサイバーエージェント・クラウドファンディング。本田の個人投資ファンド「KSK Angel Fund」が出資する。具体的な投資額は非公開だが、サイバーエージェント・クラウドファンディングは、サイバーエージェントの100%子会社として2013年に中山亮太郎社長が設立。今後、本田は主要株主としてMakuakeに関与していくことになる。では、なぜMakuakeだったのだろうか。

観客動員数200万人を突破したアニメ映画『この世界の片隅に』は、Makuakeのクラウドファンディングによって資金調達をしたことで知られている。また、直近国内記録である1億2000万円以上を集めた和歌山のスタートアップ企業によるハイブリッドバイクのプロジェクトもMakuakeから誕生した。

中山は「日本は素晴らしい技術を持ったモノづくり企業が多いのに、いい製品を生み出すための仕組みが確立されていない」と、クラウドファンディングの仕組みを使って、こうした問題を解決するために起業。ベトナムで2年半暮らしたときに、「日本製の製品が世界で利用されていると思っていたら、そう考えているのは日本人だけだった」と痛感したのが、クラウドファンディングを事業化するきっかけとなった。

「消費者が考える“つくって欲しい”と、埋もれている優れた作り手をつなげたい」と、中山は語る。

一方、ACミラン在籍時の2016年8月、本田は投資活動をスタート。「KSK Angel Fundを通して次世代に少しでもより平和で明るい未来を残せるようにエンジェル投資家として可能な限り投資し続けていこうと考えています」と自身のインスタグラムでコメントを出している。

サッカースクール「ソルティーロファミリアサッカースクール」の立ち上げや、中学生、高校生のプログラミングスクール「Life is Tech!」への出資など“教育領域”での動きが活発だった本田が、Makuakeに出資した理由について語った。

「経営者として久しぶりに刺激を受けた」
 
「理由は大きく2つあります。1つ目はクラウドファンディングの可能性。これからは銀行にお金を預けて、銀行が運用してお金を増やすという代理投資の仕組みが、どんどん変化するのは確実だと思っています。情報はいくらでもあふれているのだから、自分で投資する時代がやってくるのは間違いないので出資しました。2つ目の理由は、サイバーエージェントの藤田さんがフォローしているからです。社長の中山さんを含めて、今後のMakuakeは大きく成長していけると信じたからです」
次ページ > もっとも関心がある領域は…

編集=新國翔大 撮影=小田駿一

タグ:

連載

Forbes Sports

ForbesBrandVoice

人気記事