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I cover issues and trends in the food and agriculture sectors.

James R. Martin / Shutterstock.com

米小売最大手のウォルマートは5月30日、同社と傘下の会員制スーパーマーケット、サムズクラブに勤務する従業員の学位取得を支援するための新たな制度を導入したと発表した。

対象となる米国内の従業員は毎日1ドルを拠出することで、経営またはサプライチェーン・マネジメントの学士・準学士課程を履修することができる。フロリダ大学(フロリダ州)、ブランドマン大学(カリフォルニア州)、ベルビュー大学(ネブラスカ州)のいずれかの社会人向けオンライン課程を履修するか、居住地と勤務形態によってはパートタイムでの通学を選択することが可能だ。

ウォルマートは米国内の従業員およそ140万人のうち、6万8000人程度が同プログラムへの参加に関心を持っていると見ている。申し込みの要件は唯一、それまでに90日以上、ウォルマートに勤務していることだ。学位の取得後も同社で働き続けることを義務付ける規定はなく、従業員らが小売業界でさらにキャリアを積むことを選択するかどうかも、本人の意思しだいだという。

ウォルマートによれば、新制度の目的は従業員とのエンゲージメントを深めることや離職率を低減させること、従業員のキャリアアップを支援し、生活を向上させ、自信を持たせることなどだ。また、顧客サービスの向上を実現し、求人への応募を増やすことも目指している。

プログラムにかかる費用は相当の金額に上ると見込まれるが、ウォルマートは具体的な金額を明らかにしていない。従業員らが履修にあたって必要とする書籍その他の購入代金、手数料などもウォルマートが負担する。ただ、同社の2017年の売上高はおよそ4859億ドル(約52兆7000億円)と推計されているほか、費用の一部は経費として計上することができる。

「未来を勝ち取る」ための戦略

従業員の学位取得を支援するウォルマートの新制度は、米企業の同様の取り組みとしては国内最大の規模になり得る。社会人の学位取得を支援するスタートアップであり、ウォルマートの同プログラムの設計に協力したギルド・エデュケーションによれば、米国では現在のところ、約7000人が学位の取得を目指しているコーヒーチェーン大手、スターバックスの学費支援制度が国内最大の規模だ。

また、この新制度の影響と有効性について今後、独立した立場からの評価を行う公益団体のルミーナ・ファンデーションによると、米国人の高等教育機関への進学率は約40%で、多くの国に大幅な遅れを取っている。例えば、韓国や日本、カナダ、アイルランド、英国では、25〜34歳の55%以上が学位を取得している。

ウォルマートの幹部は新制度について、「小売業界の未来を勝ち取る」ためのカギを握るものと述べている。また、同社米国部門のグレッグ・フォラン最高経営責任者(CEO)は発表文で、「従業員個人とそれぞれの職業上における成功への投資は、わが社の将来の成功に欠かせないものだ。顧客のために業務を遂行する力、そして自らのキャリアにおける成長と前進に向けての力を従業員に与えるのは、訓練や学習の機会だ」との見解を示している。

編集=木内涼子

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