ビジネス

2018.05.07 12:00

本田圭佑が投資する、スマートコントラクトの「次」をつくる会社とは?




──Quantstampは、Omise GOが2018年5月に渋谷につくるブロックチェーンに特化したコワーキングスペース「Neutrino(ニュートリノ)」のファウンディングメンバーにもなっています。ブロックチェーン市場として、日本にどんな可能性を見ていますか?


Quantstampはシリコンバレーをベースにしている会社だけど、それでも日本に来るたびに「日本は未来を生きている」と感じている。仮想通貨に対してオープンで、多くの日本の大企業がその可能性を探っている。Neutrinoでは、世界中のブロックチェーンカンパニーがここ日本で知識を共有することで、ブロックチェーン業界を活性化させたいと思っている。

日本は仮想通貨に関する規制も進んでいるし、社会は消費者が安全であることをとても重要視する。(編注:日本では2017年4月より、仮想通貨の定義やその発行・使用におけるルールを定めた「仮想通貨法」が施工されている)

この2つによって、日本では仮想通貨が安全に使われるようになるための最適な環境がつくられていると思う。安全性を大事にするのはぼくらのミッションでもある。だからこそ、ここにはブロックチェーンビジネスの次の波を起こすための環境とマインドセットがあると考えているんだ。

ブロックチェーン普及のカギは「インセンティブの設計」

──ブロックチェーンが「通貨以外」のあらゆるものに使われようとしているいま、その安全性を担保するQuantstampは、ブロックチェーンの可能性を広げるのを促進しうる存在だと思います。リチャードさんは、ブロックチェーンが社会に普及することのいちばんの恩恵はどんなものだと考えていますか?

ブロックチェーンの最大の恩恵は、それがインセンティブの伴うネットワークであることだ。正しいインセンティブが設計されたシステムをつくれば、人間の行動をよりよくすることができるだろう。たとえば経済学には、多くの人々でリソースを共有すると、誰もそのリソースに対して責任をもたなくなってしまうことでリソースが枯渇する、「コモンズの悲劇」と呼ばれる法則がある。

でも、もしインセンティブの設計を変えることができれば、人々はリソースを守りながらそれを利用できるようになるかもしれない。この特徴こそが、ブロックチェーンを特別なものにしているものだと思う。

これまでにYコンビネーターが投資をしたたくさんの企業からいくつかのユニコーンが生まれてきたけれど、今後はブロックチェーン業界においても同様のことが起きるだろう。つまり、いま生まれている何千というブロックチェーンカンパニーのなかから、2つか3つか、あらゆる人々に役に立つような企業が出てくるはずだ。最終的にはそうした企業が、新しいインセンティブシステムを構築することになる。グローバルで、透明性のあるシステムをね。

文=宮本裕人 写真=小田駿一

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