──リチャードさんは、ブロックチェーンのどんなところに魅せられたのでしょうか?
ひとつは「境界のない世界」をつくれること。ブロックチェーンを使うことで、グローバルなビジネス、グローバルなコミュニティをつくることができるからね。
もうひとつはブロックチェーンがフェアネスをつくり出すテクノロジーであることだ。ブロックチェーン上のすべてのものは透明性をもち、誰しもアクセスすることができる。ブロックチェーンは世界をより「公正な場所」にすることができると信じている。
ブロックチェーンは、あらゆるセクターにとって重要な技術となるだろう。あらゆるビジネスにおいて仲介業者をなくし、政治からは汚職をなくし、チャリティにも使えるだろう。つまりは多くの人々の生活にかかわる技術になるということだ。だからこそぼくらは、この技術が完璧に安全であることが必要だと考えている。
──昨年7月に創業してから、会社はものすごいペースで成長しています。Quantstampの成長の秘密は?
素晴らしいチームをもっていることが会社の強みだ。ほとんどのメンバーはソフトウェア認証のPhD.をもっており、アマゾンやグーグル、マイクロソフト、アップルといった企業で働いていたメンバーもいる。
エンジニアリング部門のVP(ヴァイスプレジデント)を務めるエヴァン・ヘンシャウ・プラスはツイッターが雇った最初のエンジニアだ。こうした「シリコンバレーの知」を使うことで、素早くサービスを構築・提供することが可能になる。ぼくとCTOのスティーブン・スチュアートの2人で始めた会社はいま、30人ほどの規模になっているよ。
本田圭佑とテクノロジーについて語り合った夜
──本田圭佑さんとはどのように出会ったのでしょうか?
彼はYコンビネーターのリストからぼくらの会社を発見し、Quantstampがスマートコントラクトを次のレベルに引き上げると感じ、連絡してくれたんだ。そしてQuantstampの最初の投資家になりたいと言ってくれた。
実のところぼくらは昨年11月にICO(イニシャル・コイン・オファリング)で3000万ドルを調達したところだったから、金銭的な面でいえば投資は別に必要じゃなかった。でも、彼の誠実さとビジョンに惹かれて、2018年1月にメキシコまで会いに行くことにしたんだ。
パチューカで本田の試合を観て、その後、彼の家で鍋を食べながら彼の夢が「テクノロジーによって貧困を撲滅すること」だと聞いた。現在の社会がいかに不公平な経済システムをつくりあげているか、そしてテクノロジーを使うことで世界をより平等なものにすることができないか──そんなことをディナーを食べながら話し合った。
ぼくは、本田がただのサッカー選手じゃないことを理解したよ。彼は多くの時間をビジネスのこと、社会にポジティブなインパクトをもたらすために何ができるかということを考えるために使っている。KSK Angel Fundが世界初のQuantstampの投資家になってくれたことを誇りに思っている。