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誰も知らないシリコンバレーの裏事情

Facebookのヘッドオフィス。(Photo by Ramin Rahimian)

シリコンバレー在住の戦略コンサルタントの2人に本音で語ってもらう連載企画第5弾。熾烈な人材争奪戦が繰り広げられるシリコンバレーのエンジニアやマーケターたちの転職事情は? 基本給が10万ドル(約1100万円)を切るのは稀だというシリコンバレーのキャリアと転職の裏事情を語ってもらった。


渡辺:シリコンバレーのある企業のHRの人が、エンジニアだと18か月会社に居てくれたら会社の勝ち、18か月未満で会社を辞められると負け、というようなことを言っていた。

奥本:以前働いていたヤフーでは、エンジニアの人たちは3年くらいで転職していくことが多かった。最近はますます在職期間が短くなっているのかもしれない。

渡辺:ヤフーは大企業。もう少し規模が小さい会社になると、採用にも研修にもお金も労力もかかるので、半年で辞められたら全くの赤字、1年ほどで本格的な戦力になって、そのあと6か月、力を発揮してもらえれば黒字、と。

奥本:同じ会社に居るよりも転職した方が、給料が目に見えて上がることが多いから、転職することへのインセンティブは高い。それに加えて、IPOや大型の買収をされたりするベンチャーも多くあるから、千載一遇のチャンスを逃さないために転職を繰り返している人大勢いる。私の知っているエンジニアは、未公開ベンチャーへの転職を繰り返し、4度もIPOを経験している。

渡辺:リンクトイン、フェイスブック、ツイッターを渡り歩いた後、ベンチャーキャピタル(VC)のグレイクロックに行ったジョッシュ・エルマンは「転職勝ち組」といったキャリア。

奥本:エルマンは最近ロビンフッドという株売買アプリのベンチャーにプロダクト・チーフで入ったという報道を見た。ロビンフッドは比較的成功しているレートステージのベンチャーだから、エルマンがジンクスを発揮してIPOを引き寄せるかもしれない。

シリコンバレーで大成功を収めた人達は、最終的にVCになって起業家を支援する側にまわるのが花道であるけど、一方でペイパルマフィアのように大成功を収めた後も起業を繰り返してどんどん成功していくケースもある。レジェンドとして資金調達も有利ではあると思うけど、起業を何度も続ける精神力と体力はすごい。

渡辺:一方、一度のプチ成功で満足し、30代で引退した友人もたくさんいる。彼らもそれまでの人生では周囲よりはるかに努力家であったりするので、何度も成功して起業を繰り返す人たちは本当にすごい。

奥本:限られたハイエンドの人たちの転職事情もある。以前ヤフーで上級副社長だったジェフ・ウィーナーは、ヤフーを辞めた後、しばらくVCのアクセルでEIR(Entrepreneur in Residence=客員起業制度。特定の企業に入社し、起業準備をすること)の立場にいて、その後にリンクトインのCEOとして雇われた。

渡辺:VCのEIRをしながらしばらく様子を見る、という例もよくある。EIRの本来の意味である起業家予備軍ではなく、ジェフ・ウィーナーのようにExecutive in Residence、管理職予備軍という使い方をされている場合もよくある。大した給料が出ないので、余裕のある人しかできない。

奥本:大企業のエグゼクティブやスタートアップで成功した起業家のキャリアの中間休憩所、視野を広げる場所といった感じ。一方で、一般の人たちは自分のネットワークを駆使して、地道に転職活動をする。ただ、エンジニアはポジションがたくさんあるので転職は結構簡単。生まれ変わったらエンジニアになりたいと何度も思ったことがある。

渡辺:エンジニアだと、週に何度もリクルーターから連絡が来ることも多いみたい。リンクトリンで「仕事を辞めた」とステータスを変更すると、大量の連絡がリクルーターから来るので、面倒だから仕事を辞めたことをリンクトインには書かない、と言っていた人たちもいた。

奥本:それ、本当? シリコンバレーは本当にエンジニア・ヘブンだね。逆に、エンジニア以外の人々は、転職活動をするのに普段からネットワークを広げる地道な努力をしている。私は4回転職しているけど、すべて人的なネットワークから。シリコンバレーは村社会とも言われるけど、人的な紹介で採用される割合が多いと思う。

渡辺:特定の業界、技術、機能の仕事をしていると、何度転職しても周りにいるのはいつも同じような人ばかり、仕事の内容も似通っているという人たちも多い。ここまで狭く深く専門化しているのは、アメリカでも他にない、シリコンバレーの特徴だと思う。

奥本:同じ会社で働いたことが強い結びつきにつながっているケースが多い。仕事ぶりから見える人間性が重視されている。いずれにせよ評判社会で、評判のいい人は次から次への声がかかるし、転職活動を助けてあげようとする人も出てくる。

文=渡辺千賀、奥本直子

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