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働き方革命最前線 ─ポストAI時代のワークスタイル

Rawpixel.com / Shutterstock.com

アイデアとは不思議なもので、いざ企画書を作るぞとにデスクに向かっても全く湧いてこないのに、シャワーを浴びているときや散歩をしているときに限って「ぽん!」と浮かんできたりする。

おまけに着想の素は、普段の会社員生活ではなく、休日に子どもを連れてキャンプをした思い出や、出張先で行ったスナックのママとの会話がヒントになっていたりする。

つまり、仕事に生かしたいアイデアほど、ビジネスのオンタイムではなく、なぜだかオフタイム、つまり非日常の中から作り出されているのだ。それなら、いっそビジネスのオンタイムの全てを非日常で過ごせば、無敵アイデアマンの誕生では!?……と閃いた僕は、以来、世界中からクリエイターが集まるリゾート・バリ島に、家族を連れて移動。さらにクリエイティブな刺激と出会いを求め、各国を旅しながら仕事をする日々を送るようになりました。

そんなクリエイティビティ至上主義な生き方・働き方のことを「ジョバティカル」と言います。とはいえ、会社などの環境に縛られず、非日常に身を置きながら仕事ができる人の多くは、プログラマーなどのエンジニアが中心。「営業職の自分には無関係な話でしょ…」なんて声をよく聞きます。


バリ島のコワーキングスペースHubudでの日常光景。最近はシリコンバレーの家賃高騰をうけ、半年開発合宿などの風景も。

では、なぜプログラマーには、ジョバティカルな働き方ができるのでしょうか。

そもそも会社で働くメリットには、職業訓練を受けられたり、上司に仕事のコツを教わったりできるということがあります。そのため、PC一つでいつでもどこでも仕事ができるとはいえ、いつも一人で仕事をしていては、上司が部下に仕事のコツやスキルを教わるような「成長マネジメント」ができないのではないか、と思いますよね。しかし、それは必ずしも会社にいないとできないことなのでしょうか?

オンラインでも共に成長できる

プログラマーがソフトウエア開発時に使える共有オンラインサービスに、「Github(ギットハブ)」というものがあります。ここでは、公開されているソースコードを閲覧したり、バグ管理をしたりすることが可能です。

例えば、あるプログラマーがプロジェクトのために作ったコードを、クライアントのプライバシーに触れない範囲で公開する。すると、他のプログラマーが仕事で利用して、さらにアップデートしたものを公開してくれたりする。つまり、プログラマー同士がスキルアップし合うための場にもなっているのです。SNS機能もあるので、そこにはたくさんのコミュニティが存在し、プログラマー同士がオンライン上で勉強会を行ったり、一緒にプログラムを作ったりと盛んに交流しています。

プログラマーなどのエンジニア職がいち早くジョバティカルな働き方ができたのは、PCさえあれば環境に縛られずに仕事ができるからだけではなく、スキルアップや人脈作りという業務外のことも含め、オンライン上でできるようになったからです。

実際に、先日AIの講演をしにベトナム・ハノイへ行った際にこんなことがありました。現地学生がAIの最新理論をキャッチアップしていることに驚いて「ハノイの大学はそんなに進んでるのかい?」と聞くと、「オンライン大学で最新講義を聞いて基礎を学び、ギットハブで最新のコードのフィードを読んだり、Pull Requestに絡んでいけばいいんですよ。普通でしょ」と返ってきたのです。

自分の中で勝手に「ベトナムはまだ遅れている土地」という先入観を持って見ていたことにはっとしました。そう、働くと同様に学ぶという行為も、どこからでもできる時代なのです。

いつでもどこでも「成長」はできる

もしあなたが営業職で、プログラマーのようには自由に仕事ができないとしても、ギットハブで行われているような、スキルアップのための勉強や成長の機会は、オンライン上でいくらでも生み出すことができると思いませんか?

エンジニアが技術を公開し、それが他者によってアップデートされていく中で学びを得ることができるように、自分が持っている技術や経験を惜しみなくシェアすれば、誰かからフィードバックがもらえる。それによって技術を鍛え、自分の成長に繋げていくこともできるのです。さらに、その分野に貢献している人には自然と認知や信頼が集まり、新たなプロジェクトや仕事にもつながっていきます。

例えば、顧客を魅了するパワポを作る技術、目をひく企画書を作るテクニックをブログで公開するのもいいし、プロジェクト・マネジメントをどうやって進めていくかについての話し合いの場を、ビデオ通話を通じて設けることともできる。プロジェクトメンバーをコーチングして、成長させていくことだって、チャットツールやビデオ通話があればできてしまいます。

ビジネススキルを公にするためには、まず自社やクライアントのプライバシーに触らない公開可能なスキルだけを抽出する必要があります。しかしそれさえクリアすれば、みんなでオンライン共有して学び合うことができる時代なのです。すでに、プレゼンテーションを共有する「SlideShare」や、ニュースに対する自分ならでは見識を共有する「Newspicks」などのWebサービスも広く活用されています。

上司が部下に仕事のコツを教えていくことも同じです。あらゆる職業や業種に紐付いた“経験からくる知識”を「expertise(エクスパティーズ)」と呼びます。ビジネス系ブログで、“あるプロジェクトでこんな失敗した”というような反省を綴った内容を読んだことはありませんか? これこそまさに、オンラインで公開されているエクスパティーズなのです。

あなたがビジネス街ど真ん中の大手町に住んでいても、遠く離れた与那国島住まいでも、インターネットがあれば、自分のなかにバリュー(価値)を見つけて、非日常的な成長をアレンジしていくことはいくらでも可能です。

そして今後はあらゆる業種で、その成長を「いかに設計していくか」が重要になってきます。なぜなら、皆さんお気付きのように、社会が変化するスピードが劇的に速くなっているから。その変化に対応できるだけの成長をしていくには、より効率的で、いつでもどこでもできる=オンラインでできることが望ましいからなのです。

変化の早い時代では、あなたの勤め先が突然リモートワークを推奨し出す可能性もあれば、進化するAIやIT技術によって、必ずしも会社に行かなくても仕事ができるようになる日がくるかもしれない。それなら、今できることをやっておくのがいいと思いませんか?

文=尾原和啓

 

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